2014年12月号

地方創生 2つの輪

観光地の「第一印象」を磨く 進化するタクシーと道の駅

月刊事業構想 編集部

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観光案内所・道の駅・タクシー・空港などは、観光客との最初の接点であり、地域の印象を決定づける重要な要素だ。ゲートウェイとしての機能や、おもてなし度、地域資源発掘力を強化することが求められる。全国の先進的な事例を見てみよう。

高知県は優れたタクシーサービスを認定する「おもてなしタクシー」を展開

認定制度やツアー企画で観光タクシーにイノベーション

タクシーは観光客が地域を回るための足であり、観光における重要な要素である。しかし、誰もが一度は、ドライバーの対応に不満を感じた経験を持つはずだ。そんな中で、タクシーの満足度を上げて他の観光地と差別化しようと、サービス改革に取り組む自治体や企業が増えてきた。

有川浩の小説や、それを原作とした映画で注目された高知県庁の「おもてなし課」。観光部内に設置され、観光客の声を徹底的に調査し、受け入れ環境をハードとソフト両面から整えるのが課の仕事だ。

特に力を入れているのがトイレとタクシーのおもてなし度アップ。「これらは旅の印象を左右する大きな要因の一つ。満足度向上へ向け、重点的に取り組んでいる」と担当者は話す。

業界に革命をもたらしたハイヤー配車アプリ「Uber」

タクシーでは、一定の講座と試験をクリアし、接客マナー、観光知識、運転技術に優れたドライバーが運転するタクシーを「おもてなしタクシー」に認定。車体にオレンジ色のステッカーを貼り、ワンランク上のおもてなしのできるタクシーとして観光客にアピールしている。

認定を受けていないタクシーに関しても、空港や駅などでほぼ毎日調査員が乗車客に聞き取りを行い、生の声をタクシー業者へフィードバックし接客向上に繋げている。

競争が激しい民間のタクシー会社も、おもてなしで差別化を図り始めた。

一例が、近畿タクシー(神戸市)が考案した「神戸スイーツタクシー」。質・量ともに全国に誇る神戸のスイーツから、厳選した店舗を2時間かけてめぐるタクシーツアーだ。限定スイーツを楽しむこともできるとあって予約は絶えず、年間300組が利用するヒット商品に育った。

ほかにも、映画のロケ地を巡る「銀幕タクシー」、高品質のスピーカーから流れるジャズに浸りながらジャズクラブと夜景スポットを巡る「神戸ジャズタクシー」など、地域資源に着目したタクシーサービスを多数開発している。

今年8月から東京全域でサービスを開始した、米国発のハイヤー配車サービス「Uber」。スマートフォンアプリ経由で配車でき、目的地までの概算料金や移動時間が事前にわかるというのが特徴だ。さらに運転手のサービスを5段階で評価し、ユーザー間で共有することができる。

同サービスを巡っては、既存タクシー業界団体からの反発も起こっているが、ユーザーの評価は高く、各国で利用者数が急増している。外国人観光客が増え、オリンピックを控える日本でも需要は高まっていくだろう。

スイーツ店を巡る「神戸スイーツタクシー」は観光客に大人気

道の駅は地方創生の拠点に

全国に1030カ所存在する道の駅。もともとドライバーが立ち寄る休憩所として生まれた施設だが、近年は道の駅自体が旅の目的になっている。駅に新鮮な農産物や地元工芸品を並べることはもはや当たり前。創意工夫をこらしたサービスで、観光客を呼び込み、地域雇用を生み出すことに成功した例が多く存在する。

観光ゲートウェイ機能を高め、4億円の経済波及効果をもつ道の駅「とみうら」(千葉県)

千葉県南房総市の「とみうら」は、南房総エリアに年間来訪者を50万人増やし、約4億円の経済波及効果をもたらしたという、成功する道の駅の代表例だ。道の駅が旅行業の資格を取得し、地域の農家や食堂をまとめ、地域資源のビワなどに着目した観光ツアーを開発。道の駅が窓口となって旅行会社や交通機関にPRし、ツアー収益を分配するという「一括受発注システム」を築き上げた。

スキー客を中心に外国人観光客が多い北海道ニセコ町の「ニセコビュープラザ」は、英語、中国語、ドイツ語などの多言語に対応した観光ホットラインを設置し、ニーズに対応した細かいサービスを提供。熊本県小国町では、道の駅にUIターンの相談窓口を設け、移住者と希望者の交流会、町内での就職や住まい探しの橋渡しを行っている。

このように、道の駅は地方創生の拠点となり得るのだ。

国土交通省も、先駆的な道の駅をモデル箇所として選定し、農水省や経産省とも連携して総合的に支援する取り組みを始める。具体的には、地域外から観光客や移住者を呼びこむ「ゲートウェイ型」と、特産品のブランド化や産業振興で地域の元気を創る「地域センター型」の2タイプについて、新設やリニューアルなどの提案を募集していく。

 

観光案内所スタッフの「全国異動」とタクシーアンバサダー制度

地域の観光資源は、地元住民ではなかなか気づかない。駅や空港の観光案内所の活気が少ないのは、窓口スタッフが地元住民で、ルーチンワークに飽きていることが原因の一つだろう。

例えば観光案内所が広域連携し、1-2年ごとに若手スタッフが地域を異動するシステムはどうだろうか。「外の視点」を持った彼らが新しい赴任地で観光調査員として活動し、地域の宝を掘り起こしてツアーを開発して、案内所やHPを通じて観光客に発信する。数年もすれば観光経営のプロに育つはずだ。

国や省庁が主導する「タクシーアンバサダー制度」も検討すべきだ。ドライバー個人の評価を可視化することは、モチベーションアップにもつながる。地域でいきいきと働く人材。これは観光創造に必須の要素である。

地方創生のアイデア

月刊事業構想では、「地域未来構想  プロジェクトニッポン」と題して、毎号、都道府県特集を組んでいます。政府の重要政策の一つに地方創生が掲げられていますが、そのヒントとなるアイデアが満載です。参考になれば幸いです。

※バックナンバーには、そのほかの都道府県も掲載されております。是非ご一読ください。

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