「薬の富山」の強みを世界で発揮

ものづくり産業のポテンシャルを活かすために、分野横断的な技術の融合を進め、300年以上の歴史と伝統を有する医薬品産業においても、次世代技術への対応を急ぐ。10年後、20年後を見据えた発展に向けて、石井知事の改革は続く。

石井隆一 富山県知事

──富山県のものづくり産業の競争力強化に向けて、課題と将来像をどう描いていますか。

昨年、富山県ものづくり産業未来戦略会議を設けました。政府の産業競争力会議のメンバーでもある東京大学大学院の橋本和仁教授に座長をお願いし、有識者や経済界の代表を交えてものづくり産業の新たな発展に向けてご検討をいただいています。

富山県は県内企業の3分の1が第2次産業で、医薬、自動車、電気・電子関係、住宅といった分野の集積があり、日本海側屈指のものづくり県です。これまでは、分野横断的な技術の融合があまりなされていませんでした。そこで、本県の強みである医薬品やアルミ素材などのコア技術をさらに強化し、これを横に広げ、「八ヶ岳」状の産業構造へとシフトし、新たなさまざまな成長産業へ多面的に展開していくといった将来像を描いています。

トップクラスの先端機器で
ものづくりを振興

──どういった分野が、成長産業として見込まれるのですか。

次世代自動車や航空機、ロボット、環境・エネルギー、医療・介護、予防・診断薬、機能性食品などです。今年度の予算編成でもそうした分野に重点を置きました。

まず、ものづくり産業振興の拠点として3年前に開設した県ものづくり研究開発センターには、新規に金属積層造形システムなどの3設備を加えた先端6設備を中心とする「デジタルものづくりラボ」(3Dプリンターを活用した新しいものづくりを支援)と、新規にフェーズドアレイ超音波探傷試験機などの2設備を加えた先端6設備を中心とする「高機能素材ラボ」(マグネシウム合金や炭素繊維強化プラスチック等の開発を支援)を設置することとしています。また、公設では全国唯一といえる県薬事研究所には、新規にinvivoイメージング装置や共焦点レーザー顕微鏡などの4設備を加えた先端13設備を中心に「製剤開発・創薬研究支援ラボ」を設置することとしています。

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