魂が踊れば、地域も日本も「よみがえる」

「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録から今年で10年。熊野古道人気が続く中、熊野速玉大社、熊野那智大社と共に、「熊野三山」を形作る熊野本宮大社で、宮司として地域振興にも力を注ぐ九鬼家隆氏にお話を伺った。

檜皮葺の本殿は国の重要文化財に指定されている

“魂が踊る”地としての熊野

黒潮に面し気候温暖な紀伊半島は、みかん、びわ、梅、柿を初めとする果物の一大生産地というイメージが強いが、実は、古来、“貿易立国”とも称すべき、外界との活発な交易を通じて発展を遂げた土地柄でもある。

国内外から最先端の情報がもたらされ、それらが相互に“化学反応”を起こして新しい物が生まれ、それがさらによそへと伝えられていった。

たとえば、醤油や鰹節も、そういう中で生まれ、その製造技術は全国に移転されて、現代に至る日本人の食文化の基礎を築いてきた。鮪や鰹の漁法もここで生まれ全国に伝播した。

また、ハワイ、ブラジル、カナダなど諸外国への移民も多く、彼の地で成功を収めた人が多いことでも知られている。

歴史的に見て、常に外に向かって開かれた、非常にアクティブで、時としてイノベーティブな点に特徴があると言えよう。

九鬼家隆 熊野本宮大社・宮司

「熊野もまさに時代の最先端を行った土地です。日本人の日常生活に根付いていた神道と、外来宗教ながら国内に広く浸透していた仏教は、別々に存在していた訳ですが、平安時代に、日本人には神と仏の一体感を示すことが大事だろうということで、神道に仏教を取り入れるという、他の仏教国では考えられない一大革新を行なったのが熊野です。

このような空前絶後のことを構想し、やり切り、定着させ、そして全国へと発信していった人々の“思いの強さ”を痛感します」

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