過疎・高齢化を乗り越えるIT技術

和歌山県・伊都医師会は、地域住民の75%以上が参加する医療情報共有システムを構築。医師や薬局、介護事業者らが協力し、地域高齢者の健康な暮らしを支えている。過疎・高齢化地域における医療体制の先進事例と言えそうだ。

タブレット端末での情報入力・閲覧を可能にし、在宅医療でも活用している

和歌山県北部の橋本市や伊都郡(九度山町、かつらぎ町、高野町)などでは、住民の約3人に1人が65歳以上と、急速に高齢化が進んでいる。この地域の医療・福祉をカバーする一般社団法人伊都医師会は、インターネット上で地域住民の医療情報を共有する地域医療情報共有システム「ゆめ病院」の構築に2002年に着手した。現在では、地域住民の75%以上(約7万8000人)のカルテを共有する、日本有数の地域医療情報共有システムに成長している。

はじまりは2人の医師

ゆめ病院を利用中の横手英義医師
(前伊都医師会長、現和歌山県医師会理事

「医療情報共有システムは、中核病院からのカルテ情報閲覧から始まることが一般的です。ただ、大きな費用がかかるため、一時的な国の補助金などに頼らざるを得ず、継続的にシステムを運営することができません。『ゆめ病院』の最大の特徴は、地域の医師会が立ち上げたことです。医師会の予算を活用し、少しずつ、しかし着実に地域を巻き込みながら地域拡大と機能強化を進めていった。これが10年以上続く理由ではないでしょうか」。ゆめ病院の事務長を務め、システムの開発に初期段階から関わる久保田情報技研の久保田俊雄社長はそう指摘する。

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