困難を可能にしたパラダイムチェンジ
国内に4か所の製油所を有する東燃ゼネラルグループ。和歌山の有田には1941年より操業を続ける歴史ある和歌山工場を構えている。一時は存立も危ぶまれた工場は、どのように自らの存在価値を高めたのだろうか?
120年にもおよぶ歴史を有する東燃ゼネラルグループ。2012年には、エクソンモービルという外国資本が過半数の株式を所有する体制から、国内資本が大半となる新体制に移行。東燃ゼネラル石油を中心に、精製・販売が実質的に一体化した新生東燃ゼネラルグループとしての一歩を踏み出している。
その東燃ゼネラルグループは、国内4か所に製油所を有している。そのひとつが、紀伊水道に面した和歌山県有田市にある和歌山工場だ。1941年に操業を開始した和歌山工場は、国内屈指の長い歴史を有する工場でもある。
現在は、ガソリンなどの一般燃料や各種潤滑油、芳香族系化学製品に加え、自動車テスト用燃料といった特殊製品も含めて石油製品を一貫生産。海に面しているという立地の良さで、海外への輸出を強化。多彩で付加価値の高い製品を生産し、海外輸出の拠点として、グループ全体の収益拡大に貢献。また、国内有数の豊富なタンク群は、日本の石油備蓄の維持にも役立っている。
合理化の対象として
噂される時期もあった
現在、和歌山工場は東燃ゼネラルグループにおいて確かな存在感を示しているが、10年前の状況はとても厳しかった。現・代表取締役社長の武藤潤氏が、2003年に和歌山工場長として着任したときは「工場を閉鎖に来たのでは?」と噂されたというのだ。
「当時、エクソンモービルグループにとって和歌山製油所は将来性に乏しくグループの中核になりえないところと認識されていました。ですから最初の着任の挨拶で、このままでは今後が非常に厳しい状況になると話しました」と、武藤氏は当時を振り返る。
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