自立型ライフスタイルへの変化

これからの宮城県や東北地方が発信すべきデザインや暮らしとは何か。ライフスタイル研究や、ネイチャー・テクノロジー研究の第一人者である、東北大学大学院環境科学研究科の石田秀輝教授に聞いた。

石田秀輝(東北大学大学院環境科学研究科 教授)

─震災復興の現状をどう見ていますか。

進歩していると思っていたテクノロジーが、震災で音を立てて崩れていった。そのショックは大きかったです。ギネス認定された巨大堤防さえ津波で壊れてしまいましたが、その一方で、山々の緑はもう戻っている。自然の前で太刀打ちできない人工物の儚さを痛感しました。

震災以降、東北のさまざまな場所を訪問し、また復興や都市計画などに関わってきました。住民や現場の方々には変化が見られます。震災直後こそ恐怖感は大きいようでしたが、今はどういう形で自然や災害と向き合うのか、腹を据えて考えている方が多いのです。沿岸部の自治体も、根本的に暮らしを見直そう、産業を見直そうと努力しています。

ところが国は、震災直後に考え出された方針を頑として変えない方向で進んでおり、堤防などの人工物を再び作ろうとしています。堤防が壊れたから堤防を作る、そんな対処療法的な考え方は震災直後の一つのムーブメントであったことは間違いありません。しかし、ここに暮らす住民の議論や考え方に対して政策が追い付いていない状況には、もどかしさを感じます。

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