モノづくりの原点は「絶えざる工夫」

愛知県の製造品出荷額は、37兆472億円(2011年)。2位の神奈川県17億9613億円に2倍以上の差をつけ、35年間全国第1位の座にある。そうしたモノづくりの強さは、どのように形作られてきたのか。

拡張し続けてきた愛知の産業集積は、いつから、どのように形成されたのであろうか。

伊藤清武 都市産業研究所 代表

日本各地の工業振興に詳しい都市産業研究所代表の伊藤清武氏は、名古屋における産業の原点を木製機械に見る。

「名古屋は木曽川で運ばれてくる木材の集散地で、木製機械の歯車などに使う良質な木材を手に入れやすかった。加えて県内では江戸時代から、からくり人形づくりが盛んで、これが織機など木製機械工業の隆盛をもたらしました。

木材を使った柱時計や置時計もその例(愛知時計電機)で、他に初期の鉄道車輌や航空機のプロペラ、機体なども、丈夫で軽い木材から組み立てられました。その木製機械から金属製機械に転換するプロセスそのものが、愛知工業の近代化であったと言えます」

明治政府の国策で、一気に近代的なシステムへの転換が図られた東京とは異なり、愛知は時代を追って、着実に高度な機械工業の集積を作り出していったのである。

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