起業家の時価総額との向き合い方

資金調達の投資後時価総額が高騰しているのではないか。それは、ベンチャー企業の本当の成長にとって場合によっては足かせになるのではないか、「またバブルなのでは―そんな声も増えている。キャピタル側の目線から、その問題点を探った。
Text by 梅木雄平(The Startup代表取締役)

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スタートアップの資金調達は、結局は個別企業と投資家の相性であり条件も相対で様々なケースがあるだろう。そんな中で2011年から2013年にかけて、シリーズAラウンドで資金調達する際の投資後時価総額(ポスト・バリュエーション、本文で以下バリュエーションと表記)が高騰している印象を受ける。これをバブルと見るのか否か。現役の主にシリーズAからBで投資を実行している伊藤忠テクノロジーベンチャーズ河野純一郎氏、Fidelity Growth Partners JapanDavid Milstein氏、匿名希望A氏の3人の投資家に市場感やバリュエーションについて聞いた。

シリーズAのバリュエーションここ1年で倍に?

まずはシリーズAラウンドのここ1~2年の時価総額の推移を聞いた。

河野 肌感覚として、起業家側から交渉の初期に提示される時価総額が高いと感じる案件は増えたと感じています。ただし、全体的にというよりは、一部特定案件においてという印象が強いです。

A 昨年の倍くらいにはなっている気がします。会社の事業の段階にもよりますが。当社は割高と感じる案件は特段交渉せずスルーしており、バリュエーションでVCを選ぶ企業は方針には相いれません。

David 投資マネーは豊かになってきている印象はあります。大事なのは、誰がどれくらいの株を持っていて、次のステージに移行できる状況を作っているかどうか。マイルストンを達成しているかどうか。起業家にとって、バリュエ―ションとのバランスが取れているのかどうかです。

2012年では、シリーズAで1~2億円調達する際のバリュエーションの上限は10億円くらいを目安にするような相場感も見られた。10億のバリュエーションで1億調達できれば起業家にとって条件が良いという感覚値だろう。シリーズAで放出する株式は15%前後が多い。

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