社内にシリコンバレー流「起業塾」
ソニーは、単に社内からアイデアを募るのではなく、社員のアイデアを活かし、創造力を伸ばす組織を創設して、新規事業や社内起業につながるビジネスを創出しようとしている。
日本における社内起業というと、企業が「社内ベンチャー制度」を設け、そこにアイデアを持っている社員が応募して審査を受け、認められて起業に至るという流れが多い。この制度に課題があるとすれば、社員が積極的に手を挙げない限り、何も動き出さないという点だろう。企業にとっては「待ち」の体制にならざるを得ない。
社内横断の100人体制
このような「制度」とは全く別の形で社内発のベンチャーの創出・支援を行っているのが、ソニーだ。同社は昨年7月、「ビジネスデザイン&イノベーションラボラトリ(BIL)」という部署を新設した。
既存事業への貢献ではなく、3~5年先を見据えた新規事業の開発を目的にしており、エンジニア、リサーチャー、デザイナー、マーケッターなど様々な専門領域から選ばれた100名前後が在籍。本社内での事業化だけでなく、カーブアウトという形で第三者の投資や経営参画を受け入れてのベンチャー創設も見据えている。
「従来の技術探求型イノベーションに加えて、ユーザーの本質的かつ潜在的なニーズを汲み取ったユーザー基点のイノベーションを重視しています。メンバーが個人、あるいはチームでアイデアを創出し、2度の審査を通過すると研究開発ステージに進んでプロジェクト化されます。研究開発の段階を終えて新規事業化される時点で、本社で育成するか、事業部化するか、カーブアウトさせるかなどが決まる仕組みです」(BIL企画部統括部長・伊藤大二氏)
ソニーの未来を担うとも言えるBILのメンバーは、社内横断的に集められた。
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