静岡茶の未来を切り開く

日本一の茶処、静岡県。しかし近年、リーフ茶離れや消費者ニーズの多様化、茶価の低迷など、茶業をとりまく環境は厳しい。こうした状況を打破し、静岡茶の未来を切り開く取り組みが、いま、始まっている。

日本一の茶処、静岡県(写真提供:静岡県観光協会)

2011年の静岡県の茶産出額は412億円。国内トップではあるものの、その額はピークであった1985年の778億円から366億円もの減少となっている。生活環境の変化やペットボトルの普及で国内では特に若者を中心にリーフ茶離れが進んでいる。

一方、世界のお茶消費量は1998年から2008年までの10年間に299万トンから380万トンと約3割増加。緑茶の輸出は、2000年の684トンから2012年には2351トンと、3.4倍の伸びとなっている。こうした中、静岡県内では、世界を視野に入れた新しい緑茶製品の開発も始まっている。

ドリップ式緑茶を開発

町の人口の約7割がお茶作りに関わっているお茶の町、静岡県島田市(旧金谷町)。この町で1946年に創業し、緑茶の精製加工、卸売、小売、通信販売を手がける杉本製茶。清流大井川の流れに沿った山間のお茶だけにこだわり、島田市・掛川市の11の契約農家から茶葉を仕入れ、「うまいお茶づくり」に取り組んでいる。朝夕は霧に包まれ、1日の温度差の激しい過酷な自然条件の中でたくましく育った山間のお茶は、香り高く深い味わいだ。

同社は、1998年からアメリカへの輸出を開始。2005年にはシアトルに現地法人を設立し、現在、全米15都市に向けお茶を販売している。

世界への販売を視野に、2008年から3年間、静岡県農林技術研究所・茶業研究センターとともに開発した新たな製品が「Drip Tea」だ。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り68%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。