地域の誇りが生んだ15万人イベント
歴史と伝統に培われた熊本の魅力を再発見し、多くの人に知ってもらいたい。「熊本を愛する」メンバーにより始まった「熊本ルネッサンス県民運動」。力強く、歴史文化あふれる熊本の再興を目指す。
熊本城築城400年を約4年後に控えた2003年。九州において福岡への一極集中は進み、鹿児島は九州新幹線の開通に沸いていた。その状況を聞くにつけ、熊本の先行きが案じられていた。
そこで広く熊本の魅力を発信するには、まず県民に地域の魅力を知ってもらわなければと「熊本ルネッサンス県民運動」は始まったのである。現在、精力的に数々の運動を展開している。
地元に広がる支援の輪
「運動には肥後学の振興と永青文庫の活用、歴史の見える魅力あるまちづくり、賑わいの熊本創造の3つの柱があります」と熊本ルネッサンス県民運動本部の吉丸良治会長は語る。
「まずは多くの人に熊本の歴史文化を理解して欲しい」と、加藤・細川治政時代から明治維新までの近代熊本について、「肥後学講座」として50回を越す講演会を開催。その内容は本として出版し、県内書店でも販売した。若年層への郷土資料として、教育委員会を通して県内全ての公立中学・高等学校に寄贈している。
また、熊本の宝とも言える「永青文庫」の熊本での里帰り常設展示を、熊本県にも働きかけて実現した。熊本県立美術館に永青文庫展示室が作られ、国宝8点を含む美術工芸品が収蔵されることになった。
その後、藩政資料や数々の美術工芸品を含む細川コレクションは国立博物館での巡回展も企画され、熊本での気運の高まりをきっかけに「永青文庫」が全国に広まったといっても過言ではない。古文書は熊本大学附属図書館に4万点超の蔵書があり、2009年にはその研究機関として「永青文庫研究センター」が熊本大学内に設置された。
しかし、研究には莫大な費用がかかるのも実情である。
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