水前寺のりを養殖から産業化へ
絶滅危惧種である水前寺のりは、日本料理の高級食材として知られる淡水産藍藻。至難といわれる養殖から食品や化粧品といった商品化へつなげた、水前寺のりの復活劇を追った。
美しい水がなければ、生きられない水前寺のり
「水前寺のり」をご存知だろうか。
のりといってもみんなが想像する海苔ではなく、緑色のぷるぷるとした食感が印象的な寒天質の淡水のりである。
熊本で昔から栽培されてきた"ひご野菜"のひとつでもある水前寺のりは、歴史も古く、江戸時代には細川藩から幕府への献上品だった。上江津湖の発祥地は、1924年に国の史跡名勝天然記念物に指定されている。この全国でも珍しい水前寺のりは、九州の一部でしか生息できない稀少なものであり、絶滅危惧種にも指定。現在、自生しているのは福岡県の朝倉市甘木地区の黄金川のみ。そこでも年々減少の一途をたどっている。
水前寺のりという名前が物語るように、かつて熊本でも自生しており、熊本市内の水前寺成趣園の湧水池から発見されたことからこう名付けられた。
ところが、1953年に熊本を襲った水害や、水量や水質の変化によって数は激減。一旦は絶滅したとも言われている。現在は、県内で唯一の水前寺のり養殖家・丹生慶次郎さんが、湧き水が豊富な嘉島町に600㎡弱の専用プールを作り水前寺のりの保護、生育に努めている。
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