ブランド価値向上の裏側 老舗茶舗・丸七製茶が語る協働の真価
(※本記事は「協働日本」に2025年10月30日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

協働日本で生まれた協働事例を紹介する記事コラム「STORY」。
本連載では、協働日本とプロジェクトに取り組むパートナー企業の方をお招きし、どのように意思決定し、プロジェクトを推進しているのかをインタビューを通じて伺っていきます。
今回は、丸七製茶の鈴木成彦氏にお越しいただきました。
丸七製茶は、創業1907年の静岡の老舗製茶メーカー。日本茶を主軸に、スイーツ開発まで手がける「製造から小売までの一貫体制」を強みに掲げています。
協働日本とは2021年から4シーズンにわたり、(1)高級ボトリングティーのコンセプト設計、(2)EC/動画発信、(3)社内SNS活性化、(4)東京拠点リニューアル(カフェ併設)まで、多岐にわたる取り組みをともに進めてきました。
本インタビューでは、協働日本との取り組みで得た変化、組織としての意識変容、今後の展望について、2021年から伴走している協働プロの郡司弘明氏も交え、率直に語っていただきました。
(取材・文=山根好子)
“相談相手不在”の連続意思決定。そのとき見えた「伴走」の価値
ーー本日は丸七製茶株式会社 代表取締役社長の鈴木成彦様と、協働プロの郡司弘明さんにお越しいただきました。まずは、協働日本との出会いについてお聞かせください。
鈴木成彦氏(以下、鈴木):ご縁があり、協働日本代表の村松さんと知り合いました。「中小企業の社長に伴走する」という考えに強く共感し、当社でも支援をお願いしたいと思ったのが始まりです。
ーー協働日本の「伴走支援」は、御社のプロジェクトにどのようにフィットしたのでしょうか。
鈴木:中小企業の社長は、結局のところ一人で何でもこなさざるを得ない場面が多い。かつては学生時代の友人に相談したり、一緒に構想を練れましたが、年々それも難しくなっていました。そうした中で第三者の伴走という進め方を知り、有効な選択肢だと感じました。相談や壁打ちができる存在がいることに、大きな魅力を感じたのです。
ーーこれまでのプロジェクトを順にご紹介いただけますか。
郡司弘明氏(以下、郡司):2021年から、4シーズンご一緒しています。
鈴木:もうそんなに長いお付き合いなのですね。各プロジェクトで異なる協働プロをアサインしていただきましたが、郡司さんには一貫してプロジェクトマネージャーとしてご支援いただいています。

郡司:まずシーズン1では、新発売のボトリングティーのコンセプトデザインやコンセプトメイクを一緒に壁打ちさせていただきました。
ここでは協働日本CSOの藤村昌平さんに加わってもらい、風呂敷を大きく広げるところからコンセプトを深掘りしていきました 。
また、写真家のたかはしじゅんいちさんとのプロジェクトも協働日本がきっかけで立ち上がりました。NFTアートと抹茶を使ったチョコレートの同時発売という、当時としては非常に先進的な取り組みでしたね。

郡司:続くシーズン2では、「CBT(Craft Brew Tea)」というボトリングティーのECサイトの立ち上げを行いました。
ブランドサイトの制作と、YouTubeやSNSを活用した動画でのコミュニケーションを並行して実施しました。
ーー「CBT」のサイトには「食事と共にワイングラスで楽しむ日本のお茶」「茶葉の個性を味わう、食事彩る日本茶」など、まさに高級ボトリングティーとしてのコンセプトや提供イメージへのこだわりが詰まっていますね。
鈴木:そうですね。海外のレストランで、無料のお水と有料のお水のメニューがあるように、お茶に関しても、良いものにお金を払って楽しんでいただきたいという想いがありました。食事の際のノンアルコールドリンクの新たな選択肢としてのブランディングのこだわりを、協働プロの皆さんと一緒に表現していくプロジェクトでした。
鈴木:シーズン3では、社内のSNSコミュニケーションがテーマでしたね。社員のSNSへの感度やアンテナの高さに課題があると感じていたため、全社的に社員を巻き込み、SNSのリテラシーと発信力を高めていくためのマルチ勉強会を半年ほど行いました。この取り組みから、丸七製茶の自社noteが立ち上がり、社員一人ひとりが個人のSNSアカウントで発信することで、営業時のコミュニケーションの質が向上したり、店舗業務への他社員の理解が深まるなど、ポジティブな影響がありました。プロ人材としては、地方メーカーのSNSプロモーションの支援実績が豊富な浅井南さんに加わってもらい、個別のSNS投稿の添削なども行っていただきました。
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