目玉シールで規格外野菜が売れる 形が悪い農作物を値引きではなく擬人化した研究
(※本記事は『Grist』に2024年9月9日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています。)
あなたは、ウォルマートでおばあちゃんたちがぎょろっとした目玉のシールを商品に貼り付けてまわるいたずら動画や、目玉シールがロボット掃除機や、大学キャンパスの像に貼られていたりするのを見たことがあるだろうか。クラフトやアートプロジェクトに使われるあのアニメのような「動く目玉シール」は、人々を笑わせるだけではない。米ブライアント大学の研究者ケイシー・キム氏に言わせれば、目玉シールを適切に使えば、消費者の行動に影響を与える賢い戦術となる。特に、食べ物の無駄になるかもしれない果物や野菜を消費者に買わせるための方法として効果的だという。
ブライアント大学の准教授であるキム氏は、学術誌「Psychology & Marketing」で最近発表された研究の主執筆者であり、目玉シールを形が悪い野菜の写真に貼り付けたり、奇形の果物に人間の名前を付けたりすると、消費者は「醜い」農産物を購入しやすくなることを発見した。
この研究チームは、見た目などが不完全な農産物を擬人化する過去のマーケティングキャンペーンに触発され、「醜い」農産物を人間のように見せることで売上が増加するという主張を、6年間にわたり検証した。
「どうすれば人間でない農産物を人間のように認識させられるか?その答えは『目玉』です」とキム氏は語る。「『醜い』農産物の魅力を高められれば、最終的には食品ロスを削減できるでしょう」。
毎年、米国全土で数十億ポンド(数百万トン)の食品が廃棄されている。その多くは買い過ぎや食品寄付に関する厳しい規制によるものだが、消費者が小さすぎたり、形が歪んでいたり、色が悪かったり、見た目に傷がついていたりする果物や野菜を避けてしまうことも、少なくとも一部の問題として挙げられる。ある推定では、農産物の約20%が見た目の欠陥のために埋立地や焼却炉に送られているという。消費者が「見た目が規格外」な食品を拒否することが一因だ。
近年、「醜い」農産物が食品ロスに寄与している問題を解決しようとする企業が増えているにもかかわらず、消費者の嗜好はあまり変わっていない。特に一般のスーパーマーケットでは顕著だ。収穫された果物や野菜の約40%が、卸売業者や小売業者によって「規格外」と見なされており、これが膨大な量の食品ロスにつながっている。これには、消費者が「見た目の良いもの」を優先するという根本的な嗜好が関係している。選択肢があれば、人々は依然として完璧に見えるものを選び、不完全なものは避ける傾向がある。
キム氏のチームは、スーパーマーケットや「醜い」食品を扱う専門会社が間違ったアプローチをしていると主張している。重要なのは、不完全な農産物を値引きして売ることではなく、そもそも値引きせずに売れるほど魅力的にすることだ。そして、そこで目玉シールが役に立つのだ。
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