簡単・低コストにIoTアプリを構築 CMエンジニアリング

CMエンジニアリングは、様々なIoTシステムを手軽に構築できる「Tele-Sentientプラットフォーム」を提供。スマート農業やインフラ監視など幅広い分野で実績を積み重ねている。プラットフォームの特徴や、目指す未来像をCMエンジニアリングの鈴木武志部長に聞いた。

鈴木 武志 CMエンジニアリング
Corporate Planning部長

センサネットワークが社会基盤に

CMエンジニアリングは2010年の設立以来、半導体・LSIの設計開発会社として幅広い業界に顧客を持つ。2012年に920MHz帯の周波数が解禁されたことを受けて、特小無線マイコンモジュール「CRESSON-MD920」を業界に先駆けて発売。920MHz帯は約1km(見通し距離)の長距離でも無線伝送が可能であり、この特徴を活かした広域センサネットワーク構築の需要を開拓してきた。

「モジュールに加えて、無線システムを独自に開発したいというお客様向けに無線システム開発キットも発売しました。一方で、IoTの需要を喚起するには、当社が主体となってアプリケーションを開発し、現場に実装することも必要だと考え、様々な業界で実証実験を行ってきました」と、CMエンジニアリングCorporate Planning部長の鈴木武志氏は語る。

例えばIT農業の領域では、さいたま市およびさいたま市花卉園芸組合と連携し、農業振興施設「市民の森・見沼グリーンセンター」の展示温室にセンサネットワークを構築。温度、湿度、CO2濃度、日照、土壌水分などを温室から離れた管理事務所にて遠隔モニタリングする仕組みを構築した。

このような実証を積み重ねる中で、IoTプラットフォームのアイデアが生まれたという。

「毎年1兆個のセンサが使われ、あらゆる場所に埋め込まれる世界を『トリリオン・センサ』と言います。この世界の到来により人々がセンサを意識しなくても、様々なサービスや価値を享受できる時代が訪れるようになると当社は確信しています。そんな世界の実現のために不可欠なのが、あらゆるIoTアプリケーションが短期間で開発できるプラットフォームです。現状では、似たようなシステムをイチから個別に開発しているため、コストや手間の面で大変非効率と言えます」

わずかなステップで
低コストにIoTアプリを構築

「Tele-Sentient」は、センサインタフェース、無線通信インタフェース、センサデータ収集、インターネット接続などのワイヤレスセンサネットワークシステムに必要なあらゆる機能を提供するプラットフォームであり、大きく3つの特徴を持つ。

様々なIoTシステムを手軽に構築できる「Tele-Sentientプラットフォーム」

CMエンジニアリングはセンシングノードも提供

第一に、わずかなステップで簡単にアプリケーションを構築できる点だ。最初にGUIで気温、湿度、CO2濃度などの収集したい情報(センサタイプ)を選択し、次にシステム環境(測定間隔など)を設定する。これによりIoTアプリケーションが完成し、現場に適用すれば簡単にセンサネットワークを構築できる。

第二に、APIの提供により、既存システムと簡単に連携できることが強みだ。そして第三の特徴は、超低消費電力をシステムレベルで実現していること。「これは、ハードウェアだけでなく緻密なソフトウェア制御がないと実現できないことです。将来のバッテリーレスのセンサシステムの実現も視野に、超低消費電力にこだわっています」。これら3つの特徴により、低コストかつ簡単に、独自のIoTシステムを構築できる。

農業や飲食など幅広い業界に導入
自治体との連携・共創も推進

「Tele-Sentient」は実証事業を含めて幅広い業界で活用され始めている。最も実績が多いのはIT農業だ。北海道では農業関連団体および企業、大学等と連携して、数百メートル四方の屋外圃場で土壌状態の見える化と作物の病気予防を実証、生産者の経験値・暗黙知の可視化が実現したという。この他に陸上養殖施設の水質モニタリングシステムや社会インフラの監視・設備保全、サウナの混雑度確認システムなど、多数の開発実績を有する。

農業、飲食、インフラなど幅広い分野で導入実績を持つ

「連携先のパートナーからは『見えないものが見えてくる』ことに対して驚きの声を頂くことが多いですね。例えばコロナ禍の中では、大手飲食店チェーンとCO2センサを使用した店舗の換気状況モニタリングシステムを実証しました。飲食店では据え置き型CO2センサを入口等に1台置くケースが多いですが、店舗全体をモニタリングすると場所によってCO2濃度が全く異なり、換気をしているつもりでも不十分なことがわかりました」

CMエンジニアリングは今後、センサとデジタルツインを組み合わせた自律型IoTシステムの開発を推進していく。「例えば換気状況モニタリングシステムならば現状はアラームを出すまでですが、今後はCO2濃度に応じて換気装置を自動で稼働させるといった新たな技術を開発していきます」

同社はIoTの社会基盤化を目指して、IoTや無線通信などの技術を活用して新たな行政サービスの創出に取り組みたい自治体や、先進システムの提供を目指すアプリケーションプロバイダなどと広く連携し、IoTの実証と社会実装に取り組んでいく。その先に構想しているのは、センサデータの蓄積を通じた「データバンク」の構築だ。

「自治体や一次産業、飲食など幅広い業界でのIoT活用に関するデータや知見を、データバンク上のコミュニティを通じて広く共有していきたいと思います。そこから、当社や当社以外の企業・団体も含めて、新たなサービスやイノベーションが創出されることを期待しています。集合知によって、より良い社会を目指していきたいと思います」と鈴木氏は語った。

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