100年以上前の夢を実現した篠崎 誰もやっていないことを追究する

篠崎は、江戸時代後期に創業した福岡県の老舗酒蔵だ。日本酒一筋の蔵元だったが、現社長であり7代目の篠崎博之氏が、焼酎、甘酒、リキュール、ウィスキーと事業の幅を広げてきた。現在は、8代目となる篠崎倫明氏が経営企画部長として、さらに新たな境地を切り拓きつつある。

篠崎 倫明(株式会社篠崎 経営企画部長、8代目)

福岡県中南部の山あいで、豊かな自然と豊富な水に恵まれた朝倉市。篠崎は、同地で日本酒造りを続けてきた。

7代目の篠崎博之氏が酒造りに携わるようになったのは、約50年前。高度成長期で、酒は造れば造るだけ売れる時代だった。同社では日本酒造りの傍ら、ビールなどの卸売りも行っていたが、博之氏は時代を見据えて卸売をやめ、日本酒以外の酒造りを目指すことにした。そして約40年前に製造を開始した甘酒と焼酎が、現在の主力商品となっている。

他にないものを追究する精神

甘酒は、当時は今ほどポピュラーではなかったが、栄養価が高く、健康にも良いため、将来性を見出して挑戦したという。甘酒には、酒かすをお湯に溶いて砂糖などで甘みをつけた「酒かす甘酒」と、米麹でつくった「米麹甘酒」の2種類があるが、篠崎が造るのは「米麹甘酒」だ。

米麹甘酒は製造と管理が難しく、加熱殺菌が十分でないと発酵が進み、炭酸ガスが発生して膨張し、容器が破裂してしまうこともある。それが原因で、発売当初は長崎や鹿児島の顧客の元へ謝りに行ったこともあったという。それでも、他社があまり手がけていない分野にあえて挑戦したのだ。

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