数字で見る・世界と日本の未来 課題から探る新規事業

人工知能(AI)がビジネスをサポートし、空飛ぶクルマが行きかう未来は実現が目前に迫る。一方で、気候変動や国際紛争など、人類の存亡を左右しかねない大問題の解決の糸口は見えない。日本には高齢化と人口減少という大きな課題もある。様々なデータを見ながら、より良い将来に向けて理想を描き、行動に繋げていこう。

気候変動による未曽有の災害や、いつ終わるのか分からない紛争などの地政学的リスクが増えており、将来予測はますます難しくなっている。不安を感じる状況が多い中でも、ポジティブな未来構想の重要性は増している。複雑に絡まった課題を解決する方策は、新しいビジネスチャンスにもつながるはずだ。

人口が増える国の需要を取り込め
国内では人口減へ対応策を考える

未来を精度良く予想するのは困難だが、人口に関する予測は比較的確度が高いとされている。中でも、世界各国の総人口と生産年齢人口の変化は、長期的な経済成長に大きな影響を与える重要な要因だ。人口が増加すれば、衣食住や教育、医療などの需要も増える。また活力ある働き手がたくさんいれば、製品・サービスの供給も増え、質の向上も期待できる。

「国連人口推計2022」(中位推計)によると、人類の総人口は2030年に85億人、2059年には100億人を突破する。15歳から64歳までの生産年齢人口は、2030年に56億人。2070年頃にピークを迎え、63億人となると予測される。生産年齢人口がピークを迎える時期は国ごとに異なり、日本は1990年頃、ロシアは2002年頃、中国は2015年頃と見られている。先々では米国・インドが2050年頃に、この年齢層の人口のピークを迎えると予測されている。ナイジェリアをはじめとするアフリカ諸国や、パキスタン、バングラディシュ、インドネシア、フィリピン、ベトナムなども、これから生産年齢人口のピークを迎える国々だ(図1)。これらの国々の増大する需要を取り込むビジネスは、新規事業として期待できる分野になりそうだ。

図1 主な国ごとの生産年齢人口の推移と予測

出典:国連人口推計

 

日本については、総人口・生産年齢人口ともに減少が続く(図2)。2022年の合計特殊出生率は1.26で過去最低、出生数も統計開始以来最低の77万747人だった。政府が2023年6月に発表した「こども未来戦略方針」では、 若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでに少子化トレンドを反転させるため、次元の異なる少子化対策を打ちだしていく、としている。基本理念は、若い世代の所得向上、社会の構造・意識の変革、全てのこども・子育て世帯に対するライフステージに応じた切れ目ない支援、の3つだ。子どもを持ちたいと考える人を積極的に支援するアイデアが今、求められているといえる。

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