時事テーマから斬る自治体経営 「自治体間競争(都市間競争)」の注意点

自治体間の競争はこれまで、人口や移住者数、ふるさと納税額、企業誘致などのさまざまな点で繰り広げられてきた。30年以上にわたって「自治体間競争」は続いてきたが、近年限界に近づきつつあるのが現状だ。自治体間競争の「次」とは何であり、地方自治体は今後、何を目指していくべきなのだろうか。

「自治体間競争(都市間競争)」という言葉(概念)がある。

日本放送協会(NHK)は、統一地方選挙の前に、全国1788人の知事、市区町村長を対象にアンケートを実施した(回答率は93%)。同アンケートは、自治体間競争に関する設問がある。今回は「自治体間競争」を取り上げる。

自治体間競争の経緯と現状

NHKのアンケートには「あなたは、今、自治体間の競争が激しくなっていると思いますか」という設問を用意している。この回答が図表1である。「そう思う」という回答が42.6%であり、「どちらかといえばそう思う」が36.4%という結果であった。自治体間競争が「激しくなっている」と捉えている首長は約8割である。NHKの分析によると「大きな自治体ほど競争激化を強く意識する傾向がある」と指摘している。現在、多くの首長は自治体間競争を意識しているようだ。

図表1 自治体間競争は激しくなっているか

出典:NHK全国首長アンケート

今日、激しくなるとされる自治体間競争は、いつから始まったのだろうか。筆者は2000年代前半に自治体に勤務していたが、すでに「自治体間競争」という言葉はあった。当時は「地方分権一括法」(通称)により、国と自治体の関係性が「対等・協力」に変化した。その果実を得ようと、少なくない自治体が競争に勝ち抜ぬくために、多様な政策を展開していた。

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