工事現場の仮囲いをわくわくする場所に アートでまちをにぎわす

工事現場の周囲を覆う仮囲いをキャンバスに見立ててアーティストに開放し、まちににぎわいをもたらす「108 ART PROJECT」が全国で進みつつある。プロジェクトの立ち上げにかかわった山下PMC取締役専務執行役員の木下雅幸氏に、プロジェクトに至った経緯と実践を聞いた。

聞き手 ： 小宮信彦 事業構想大学院大学　特任教授、電通　ソリューション・デザイン局　シニア・イノベーション・ディレクター

木下 雅幸
山下PMC　取締役専務執行役員
　 プラットフォームビジネス本部　本部長

ビルオーナー、アーティスト、
まちにメリット

小宮　まず「108 ART PROJECT」がどのようなプロジェクトなのか教えてください。

木下　「108 ART PROJECT」は、建設工事現場の無機質な仮囲いを、アートの力でわくわくできる楽しい場所に変え、まちの景観に新たなデザインを吹き込むプロジェクトです。「まちにART（賑わい）を、ひとにART（豊かさ）を」をキャッチコピーに掲げ、「訪れたくなるまち、にぎわいのあるまちづくりへの貢献」「アーティストの新たな活躍の場の提供と育成」「アートからビジネスにつながる出会いとイノベーションの創出」という3つのミッションを担っています。

ビルオーナーにとっては、建設期間中からにぎわいの場に、アーティストにとっては発表の機会と新たな表現の場に、まち・地域住民にとってはアートの仮囲いがまちのシンボルになる、というようにそれぞれでメリットを感じていただけると考えています。さらに加えれば、仮囲いがあることによってまちの人々と建設現場で働く職人が分断されてしまっていますが、そこにアートを持ち込むことによって職人が感動を覚えるような現場に変え、誇りを持って働くことにつながればと思っています。