地域課題を「共創」で解決 奈良市の産官学プロジェクト
地域課題を「共創」で解決
奈良市の産官学プロジェクト
奈良市、大和ハウス工業、事業構想大学院大学の三者が連携し、地域課題を「共創」により解決する人材を集めて育成し社会に還流する「奈良市みらい価値共創プロジェクト研究」を発足した(2023年4月)。企業版ふるさと納税を活用し、産官学で行うプロジェクト研究として、関西初の取り組みとなり、大和ハウス工業が寄付ならびに会場としてみらい価値共創センター「コトクリエ」を提供している。
プロジェクト研究の研究員は、地域の今後を担う若手人材を公募。奈良市を中心とした関西エリアから、民間企業、自治体などから幅広く応募があり、2023年度は第1期生として22名が参画した。
6月に研究会が開始し、7月には地域の問題や課題を見つけ出すため、奈良市月ヶ瀬地区にてフィールドリサーチを実施。月ヶ瀬ワーケーションルームONOONOにて、月ヶ瀬行政センター所長より地域の課題や現状について、月ヶ瀬振興協会代表取締役の福田栄世氏より月ヶ瀬温泉とふれあい市場について、また茶聖の上久保淳一氏より上久保農園の取り組みや月ヶ瀬の茶について話を聞き、地域の魅力と課題を見出す機会となった。
2月16日には最終発表を実施し、研究員が約9ヶ月かけて練り上げた事業構想計画が発表された。奈良市副市長の真銅正宣氏と、大和ハウス工業 常務執行役員の石﨑順子氏が参加し、研究員にエールを送った。
さらに産官学民の「共創」に広げる取り組みとして、2回のワークショップを開催。奈良市の地域活性化や地域貢献したい方、起業や新規事業を創ることに関心がある方が幅広く参加し、クリエイティブ発想によるアイデアつくりの体験、月ヶ瀬でのフィールドリサーチ調査の報告等を実施した。
本プロジェクトは、3カ年計画で、2024年度も新たに研究員を募集し、実施する予定だ。
<研究員の声>
デジタルアーカイブのトータル会社に
リブランディング
プロジェクト研究に参加した当初は、貴重資料の原本を壊さない電子化の会社と認知されていましたが、今回の事業構想の経過を通じて「デジタルアーカイブのトータル会社」と、会社全体をリブランディングすることができました。
事業構想する時は、結果から考えがちですが、その手前の「お客様の課題は何か」「お客様が何を得られるのか」いう点を正確に掴むことが重要だと、研究会を通して得ることができました。
また、研究会の魅力の一つは、社外の人と意見交換できる機会が持てることです。自分の会社以外の人たちと、事業に対して、また仕事に対して、本気で議論ができるところは他にはなく、得るものが大きかったです。
研究会では事業構想計画「デジタルアーカイブの利活用で司書・学芸員の輝く奈良へ」を作成し、すでにプレスリリースで配信しましたので、今後、自社の新たな事業として進めていきます。
地域ネットワークを活かし
奈良を世界に誇れる町に
組織をマネジメントして、新たな事業を作っていく中で、継続的に学び続けられる場を探していたところ、今回のプロジェクト研究を知りました。
弊社は、創業34年目を迎えるタウン情報WEBメディアを運営している会社で、希少性の高い伝統工芸の縮小、地域企業の後継者不足など、地域の課題を感じていました。そこで、弊社が持つ地域ネットワークの強みを活かし、「奈良限定のインバウンド向けスペシャルオプショナルツアー」を販売する事業を構想しました。
研究会全体を通して、アイデアを出し、マーケティングに落とし込み、フィールドリサーチも行う一連のサイクルを学び、実践しながら新規事業を構想することができて、非常に学びの多い時間を過ごしました。また、共に真剣に考え、信頼できる仲間と出会えたことは、今後の財産になりました。
プロジェクト研究
プロジェクト研究は、事業構想大学院大学 修士課程のカリキュラムのエッセンスを活かし、研究参加者の新たな事業構想と事業計画構築を行う1年間の研究会です。
担当教授が1年間を通じて、多彩なゲストを招きつつコーディネートとファシリテーションを行い、研究員の知見を高めながら推進していきます。
プロジェクト研究 概要
研究会:定例研究会(1回4時間、隔週24回開催、共同研究会年6回)等
形式:テーマ型/一社型
目的:新規事業、既存事業の再構築、地域活性などの構想・構想計画構築
定員:10〜15名
主担当教員:事業経験豊富な実務家教員
事業構想セミナー・説明会
セミナー、プロジェクト研究の説明会を実施しています。
牛久市事業構想プロジェクト研究(仮称)
牛久市域の未来を担う人材育成及び共創による
新価値創出を行うプロジェクト
4月より説明会を実施(詳細は本学HPに掲載)