時事テーマから斬る自治体経営 「コンパクトシティ」の注意点

急激に少子高齢化が進む中で、都市機能を集約させた「コンパクトシティ」の実現を目指す地方自治体も出てきた。しかし、実際に取り組んでみると様々なハードルが明らかになり、成功に至った自治体は少ないようだ。コンパクトシティの種類や、実現に向けての課題についてまとめた。

人口減少に対応する一視点が「コンパクトシティ」である。一部には人口減少の切り札という論調も見られる。しかし、筆者は疑問である。今回はコンパクトシティを取り上げる。

コンパクトシティの経緯

図表1は、朝日、産経、毎日、読売の各紙における「コンパクトシティ」に関する新聞記事の推移である。1990年代後半にコンパクトシティの記事が登場している。当時のコンパクトシティは、青森市の事例が多かった。同市が先進事例と言われる所以である。

図表1 主要4紙における1年間に掲載された「コンパクトシティ」の記事の推移

出典:@niftyの新聞・雑誌記事横断検索(https://business.nifty.com/gsh/RXCN/)から筆者作成

 

1989年に、佐々木誠造・青森市長(当時)は選挙公約に「コンパクトシティ」を使っている。そして1995年の総合計画の中に「コンパクトシティ構想」が明記された。

2000年代半ば以降は、富山市の記事が多くなっている。同市のコンパクトシティは、2006年に開業した富山ライトレール(LRT)が大きく関係している。同市は地域の拠点(お団子)を公共交通(串)でつなぐ「串と団子のまちづくり」を目指してきた。これが富山市のコンパクトシティである。

2015年にコンパクトシティの記事が増加しているのは、前年(2014年)に遡る。第1に国土交通省がとりまとめた国土整備計画「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」の影響がある。国土整備計画にコンパクトシティの記述がある。第2に「立地適正化計画」も考えられる。立地適正化計画は、都市計画法を中心とした従来の土地利用の計画に加えて、居住機能や都市機能の誘導により、コンパクトシティの形成を推進しようと意図している。

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