自治体を支えるコンテンツクラウド 行政文書管理の効率をアップ

ガバメント・クラウドの活用が模索される中、コンテンツ共有基盤を展開するBoxが注目されている。厳密なリスク管理が求められる公的文書管理プロセスを、クラウドを活用してデジタル化。外部ベンダーなど異なる組織間での共同作業も円滑に実施でき、行政の業務効率向上に寄与する。

鹿島 定雄(Box Japan 官公庁営業部 地方自治体担当部長)

デジタル庁では、2020年に改定されたデジタル・ガバメント実行計画に基づき、生産性やセキュリティ向上を図った標準的な業務環境としてガバメント・クラウドを整備している。デジタル庁発足と同時に、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が施行。クラウド・コンピューティング・サービスを活用したシステムの構築推進が明文化された。中央省庁や地方自治体は5年後を見越したビジョン策定、人材配置を行い、基幹業務システム環境の見直しを図っている。

クラウドによる生産性向上は
行政・自治体の責務

「公的機関におけるコンテンツクラウド活用には、産業界とは異なる意味合いがあります。保有する文書を適正に管理して、行政サービス向上につながる業務効率化を図る努力をするのは、市民に対する義務と言えます。また、公的文書管理プロセスのデジタル化は、職員の働き方改革を支える仕組みとしても重要なことです。全国で共同利用するのですから、従来の業務に合わせたシステム整備ではなく、システムに合わせた効率的な業務スタイルへと変革させなくてはならない。それを実現するための国の専門部署の組織化や、法整備も当然の流れです」と、Boxで地方自治体担当部長を務める鹿島定雄氏は語る。

Boxは2005年に米カリフォルニア州で創業し、業種を問わず組織が利活用するコンテンツ型クラウドサービスを提供している。約300社の販売代理店とサポート体制を組む日本法人では、2018年から東京と大阪のデータセンターで顧客データ保管が可能となり、自治体へのサービス提案も増えている。

図 Boxの文書管理適用イメージ


管理者、重要性や性格、形式が異なる多様な文書を、それぞれに合わせて的確に、かつ効率よく管理することが可能

出典:Box Japan

情報漏洩などのリスク管理を徹底
公的文書管理をデジタル化

公的文書の主体は紙から電子へと移っている。テキストデータ、ドキュメントから音声や画像まで、コンテンツには新しいものもあれば、過去に取得してチェックを繰り返しているものもある。このため、「これらの管理方法をルール化し、文書の作成・取得から共有・承認、保管、破棄までのライフサイクルを簡素化する仕組みが必要。かつ、どこからでもアクセスできて誰もが使いやすい利便性と、セキュリティ対策を備えたシステムが求められます。その点、Boxのクラウドサービスの安全性には自信があります」と鹿島氏は話す。

アクセスのしやすさと高度なセキュリティ。一見相反するものだが、Boxは米国の公的機関においても約1万件の導入実績を持ち信頼を勝ち取っている。また日本国内でもBoxはセキュリティ基準をクリアしている。国民の個人情報を保管するガバメント・クラウドは、より厳しいセキュリティ管理基準が不可欠だ。そのために政府情報システム独自の評価制度ISMAPが設けられた。BoxもISMAPの審査を受けてサービスリストに登録済みだ。

容量無制限で使いやすい情報基盤
バージョン管理機能が好評

使いやすさの点からは、まず容量無制限であらゆるコンテンツを保管できる点がBoxの特長といえる。また、共有フォルダに対して7段階のアクセス権、編集権限、ダウンロードの可否などを設定可能だ。他にも、保管期限の設定や改ざん防止、不要文書の廃棄など公的文書の管理に必要な機能を網羅している。相手ごとに適切な権限を付与するため、外部の関係者とも安全かつ円滑な情報共有や共同作業が可能になる。

とりわけ自治体で重宝されているのが、バージョン管理だという。ファイルサーバーには編集者や日付の異なる多数のファイルが混在しがちだ。Boxでは上書き保存時の自動バージョアップ機能によって最新のファイルを共有しながら過去履歴も参照できるため、担当者の異動がファイル管理に支障をきたす心配もない。

ラベリングによって情報の種類や機密度に応じた利用制限をかけるオプションも追加できる。機密情報の外部との共有をブロックしたり、電子すかしによって情報流出を抑制するといった対策も万全だ。ワンタイムパスワードや、SMS認証サービスに標準で対応しているほか、ファイルをアップロードした時点での暗号化や、脅威検知サービスなどにより、情報漏洩のリスク管理を徹底。また、サービスの組み合わせで、マイナンバーなどの情報はアップロードできないようにするといった監視機能を構築している。

文書から必要な情報を探し出す検索機能も強力で、フォルダ名やファイル名のみならず、テキストやコンテキストも含めた検索が可能。ファイルの種類や更新日で絞り込むといった工夫もできる。

既存の事務機器も活用できる多彩なソリューション

また、Boxは多くの事務機器メーカー製品、他クラウドサービスとも連携している。このため、日頃から使っているアプリケーションやハードウェア機器などを変えずに、便利な文書管理基盤を構築できるようになっている。

例えば、国内の主要な複合機メーカーは、Boxに対応した機能を装備している。パソコンを起動して印刷する手間を省き、複合機の操作パネルからBox内のファイルを選んで印刷する、紙文書をスキャンして直接Boxへ送信し、アップロードするといった具合だ。将来的に自治体が保管する既存の紙文書をデータ化する必要性に迫られた時、その対応にも活用できる。

「Boxは人と組織の働き方を変革するというミッションを掲げています。電子化により行政が保管する文書は増え続けますが、文書管理プロセスをデジタル化すれば、事務作業の手間を省くことができる。マンパワーが不足する自治体でも履歴管理や長期保存に対応することができるようになるのです。自治体のシステム環境見直しにフル活用していただけるよう、さらに役立つソリューション提供に努めます」。

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