中外炉工業 人材育成を強化、熱技術を核に脱炭素化へ開発を推進
工業炉でトップクラスのシェアを誇る中外炉工業。熱技術(サーモテック)分野で独創的な技術を生み出すエンジニアリング企業として成長してきた。創業80年を迎えた今、経営ビジョンを「自らを変革し、カーボンニュートラル技術で未来をひらく」とし、脱炭素社会実現に向けた取組を加速している。

尾崎 彰
(中外炉工業 代表取締役 社長執行役員)
世界各国の基幹産業に
熱技術利用の生産設備を提供
大阪市に本社を置く中外炉工業は、1945年の創業以来、工業炉とその関連設備のエンジニアリング企業として、産業発展の一翼を担ってきた。熱技術を核とした開発力・設計力を最大の強みとし、工業炉でトップクラスのシェアを誇る。現在、約60ヵ国の基幹産業に設備を提供している。
「工業炉と、それに付随した設備に関する様々な技術を持っています。大部分の製品は、お客様の要望に合わせて設計・製造し、試運転した上で引き渡します」と、代表取締役の尾崎彰氏は事業について説明する。経営理念は「熱技術を核として新しい価値を創造し、これを通じて社会に貢献するとともに企業の繁栄と社員の幸福を実現する」。新しい価値の創造に向けては、常に顧客の視点やニーズを大切にしている。
「エンジニアリング企業である以上、常に新しいことをやっていかなければならないと思っています。技術者は優れた技術を持つことで満足しがちですが、大切なのは、お客様に評価していただけるかどうかです。その結果として社会に貢献していく。この方針は従業員に浸透していると思います」。
サステナブルな社会実現のための
新規開発に積極投資
2022~2026年度の中期経営計画では、新しい価値の創造に向けて①カーボンニュートラルを中心に新市場の創出、②既存商品のニーズ適合・ブラッシュアップで拡販と利益向上、③働きがいのある職場作り、という3つを重要戦略と位置付ける。
2023年には、大阪府堺市の堺事業所内に「熱技術創造センター」を開設した。従来の研究開発拠点を統合し、研究・開発がより効率よく行える事業所にアップグレードした。
熱技術創造センターはカーボンニュートラルへの貢献を最重要目的とした最新鋭の研究施設で、迅速かつ効率的な開発活動を推進。さらに、社内外の共創によるイノベーション活性化を目的とした「見せる・学ぶ・集う研究施設」という特長も備えている。持続的な成長、企業価値の向上とともに、サステナブルな社会づくりに貢献する新規事業、成長事業への投資を進める。
「当社の製品は工業炉であり、設備内の昇温に用いられるバーナの使用によって大量の二酸化炭素(CO2)が排出されます。ですから、カーボンニュートラルに取り組むことは、ビジネスチャンスというよりは企業としての責任だと考え、最優先で研究開発を進めています」。

二次電池の電極素材の焼成プロセスを担う設備。
中外炉工業では様々な工業炉を生産している
その1つの柱は、水素やアンモニアを燃料とするバーナの開発で、もう1つはバーナの代わりにヒーターで加熱する電化だ。後者においては、再生可能エネルギーで発電されたグリーンな電力を使えばより脱炭素化が進む。
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