植物由来代替肉から細胞培養肉へ 米国に見る「代替肉」の最前線
代替肉はフードテックの主要分野のひとつだが、なかでも近年急速に研究開発が進んでいるのが「細胞培養肉」だ。100以上のフードテック企業が集積するシリコンバレー発の細胞培養肉メーカー、Orbillion Bioは高級培養肉の開発で世界的な注目を集めている。
注目を集める細胞培養肉
代替肉(フェイクミート)は、従来の動物由来の肉を植物由来や細胞培養などの技術を用いて再現した食品で、人工肉とも言われる。大豆などの豆類や大麦、きのこなどの植物性の素材を使用して作られる「植物由来代替肉」と、動物の生体細胞を採取、培養して肉の組織を再現する「細胞培養肉」の大きく2タイプが存在する。植物由来代替肉はすでにスーパー等で広く販売されているが、細胞培養肉は一部の国を除きまだ研究開発段階である。
代替肉が注目されている背景には、環境への負荷削減や動物福祉など複数の理由がある。世界の温室効果ガス排出量のうち農業由来のものが10~12%を占めるが、FAO(国際連合食糧農業機関)によれば農業排出の約65%は家畜生産に起因するもので、代替肉はこれらの負荷を軽減する効果が期待される。また、畜産業における動物の飼育・屠畜に伴う問題の解消にもつながるとされる。
代替肉の研究開発は世界中で進められているが、先頭を走るのはやはりアメリカだ。東京都が開催した「City-Tech.Tokyo2023」では、細胞培養肉スタートアップとして注目を集めるOrbillion Bio(オービリオンバイオ)の創業者CEOであるパトリシア・バブナー博士と、UCバークレーカルフォルニア校でフードテック起業家育成プログラム「Alternative Meats Lab」の責任者を務めるリカルド・サン=マーティン教授が登壇。アメリカの代替肉産業の現状と展望について語った。
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