マーケティング支援「Custella」 キャッシュレスデータを自治体に生かす

三井住友カードはキャッシュレスデータの分析サービスを手掛けており、特に自治体向けでは、観光客の消費分析の支援で多く活用されている。その概要について、同社マーケティング本部 データ戦略ユニット データビジネスグループ データビジネスプランナー・部長代理の高梨翼氏が報告した。

三井住友カード株式会社 マーケティング本部
データ戦略ユニット データビジネスグループ
データビジネスプランナー部長代理 高梨 翼氏

一連の購買行動を
一気通貫で捕捉

三井住友カードは、「VISA」「Master card」「ID」「銀聯」の4ブランドでカード発行事業を行っている。会員数は日本人で2000万人、外国人で1400万人おり、200万の加盟店を通して年間12兆円のお金の動きを把握している。

こうした資産を生かし「デジタル化によるキャッシュレスの価値を最大化すべく、幅広い決済ソリューションをワンストップで提供するとともに、データを活用した新たな付加価値を持つ商品やサービスの提供なども行っています」と、高梨氏は近年の事業展開について語る。

中でも、いつ、どこで、だれが、何に対して、いくら使ったかという一連の動きを一気通貫で捕捉できることがキャッシュレスデータならではの強みとし、例えば「何に対して」では、加盟店を、買い物、宿泊、飲食、サービス、レジャー、交通の6分類33業種に区分することで購入のおおよその傾向をつかむことができるという。

性年代別、居住地別、
業種別、時系列で分析可能

こうした資産を生かしたサービスの一つが、キャッシュレスデータを活用したマーケティング支援サービス「Custella(カステラ)」だ。「キャッシュレスデータを通じて事業者様と一緒に顧客提供価値を見つけたいと考え、始めたサービス」で、特に自治体向けでは、観光客の消費分析で支援するケースが多いという。

 

 

「Custella」は「Customer Intelligence(カスタマーを照らす)」という意味が込められている。国内最大級のデータ量を誇る、分析支援サービス

「観光客の行動を旅前、旅中、旅後で区分けした場合、旅中における消費行動データを幅広く捕捉することが可能です」

分析の切り口も多様で、性年代別では特定の年における観光客の構成比を比較することで、どこの年代が増えているのかをふまえ消費単価が高いセグメントに対してプロモーションの強化に役立てられる。居住地別では、どこの都道府県から来ている観光客が多いのかを消費金額とセットで可視化することも可能で、どのセグメントをターゲットにしてプロモーションを実施するかの判断に活用できる。業種別では、エリア内で何に消費されているのかが把握でき、消費活性化の施策を行う上でどの業種で実施すべきかの検討に生かすことができ、時系列の比較では、実施イベントなどと照らし合わせることで経年での効果検証の材料として活用できる。

分析結果をコース作成、
プロモーションに生かす

ウェビナーでは導入事例が二つ紹介された。一つ目は鹿児島県で、観光消費額の年間目標を定めているものの、具体的な消費傾向を把握できておらず、プロモーションの方向性やターゲットの設定が正しいのかわからないという課題を抱えていたという。

「日本人、インバウンド両方の観光客の消費動向分析を実施した結果、日本人では、50~60代の来訪者が特に消費単価が高い一方、20代女性は旅行意欲こそ高いものの日帰りで帰ってしまう傾向が強いため、今後伸ばす余地のあるポテンシャル層として見出すことができました。インバウンドでは、中国、香港からの来訪者でモノ消費の意欲が旺盛な方が今後狙っていくべきターゲットとして有効だと把握できました」

この結果をもとに鹿児島県では、モデルコースの作成、公開に加え、ターゲット層に応じたメディアを活用したプロモーションを計画した。

2つ目は熊本県で、温泉という明確な観光資源があるものの、だれに向けてどのようなメッセージで訴求をすべきかわからないといった課題を持っていたという。

「そこで、来訪者の分析を行うことで、シニア層、ファミリー層、独身女性などで具体的なペルソナを見出すことができました」

熊本県では、この分析レポーティングにとどまらず、広告代理店と連携し、特定したペルソナ像を活用して広告ターゲティングを設計し、広告配信を行うなど、具体的なプロモーションまで一気通貫で実施したという。

ガバナンスや業務効率化に
資する法人カード

高梨氏からは、実際の施策に活用できる同社の法人カードについても解説があった。近年は、プロモーション施策や広報活動の一環として、SNSによる情報発信やWEB広告を実施する自治体が増えているが、利用料の支払いについては銀行振込や口座振替ではなく、クレジットカードでの支払いを求められるケースが一般的となっているという。

「2021年2月には、総務省よりクレジットカードの利用が地方自治法及びその関係法令の規定に抵触するものではないことが明確になったことに加え、公費の個人立て替えやポイント獲得におけるガバナンス上の問題から、法人カードの検討や導入についての相談件数が年々増加しています」

同社の「三井住友パーチェシングカード」は、プラスチックのカードを発行しないため現物管理が不要となり盗難・紛失リスクを低減する。カード名義については、部局、課、係、費目名など、自由に設定できるほか、各種支払いをカード払いにすることで毎月の支払いを一本化し、用途に応じた名義設定とデータ還元サービスによって利用後の突合業務の効率化にもつながるという。「カードのご利用先を制限する機能や、締日の翌日に利用枠をゼロクリアする独自の機能も備えています」と高梨氏。

また、新商品「三井住友カード パーチェスプラス」は、専用カードの親番号から利用回数や利用期間などを設定した番号を即時発番できるため、Web上で一度切りの設定や予算年度内のみ使えるといった設定が可能で、更に番号ごとに稟議書番号や請求書番号といった付加情報を紐付けておくことができ、VISAシステム内で利用内容と一緒に確認できる。高梨氏は「自治体の皆様にとって大切なガバナンスや業務効率化を意識した商品」と述べ、検討を呼びかけた。

 

お問い合わせ先


三井住友カード株式会社
ビジネスマーケティング統括部
メール:okadaman@smbc-card.com
URL:https://www.smbc-card.com/camp/hojinkeihiseisan

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