自治体への導入実績400カ所以上、ポータブル蓄電池タメルラボ.

防災対策や危機管理において重要な役割を果たす蓄電池。国重・ライティングが開発・販売する「タメルラボ.」は、大容量でありながらコンパクトで持ち運びが便利なポータブルバッテリー。レンタルも開始し、新型コロナワクチン管理のバックアップ電源などとして、自治体から注目を集める。

防災対策や危機管理において重要な役割を果たす蓄電池。【環境ビジネス】では、大容量でありながらコンパクトで持ち運びが便利なポータブル蓄電池「タメルラボ.」を提供している。直近ではレンタルによるサービスも開始し、新型コロナワクチン管理のバックアップ電源などとして、自治体から注目を集める。

発電機の問題を克服する蓄電池

「タメルラボ.」を開発・販売しているのは、LED照明を中心に省エネ事業を展開してきた国重・ライティング。2011年、東日本大震災での被災地支援で、現地の状況を目の当たりにし、エネルギーを生み出す創エネ、そのエネギーを蓄える蓄エネ(蓄電池)の必要性に着目。蓄電池の開発を開始し、6年ほど前に大容量ポータブル蓄電池の1号機を完成させた。

大容量ポータブル蓄電池「タメルラボ.」。右写真は冷凍庫に接続して使用しているところ

災害時の非常電源としては発電機があるが、稼動時の匂いや騒音、燃料の保管・運搬などに弱みがある。使用時の排出ガスは環境面や安全面の問題も。また定期的なメンテナンスをしていなかったために、いざという時に動かなかったといった事例も少なくない。

一方、大容量ポータブル蓄電池「タメルラボ.」は、安全性の高いリチウムイオン電池を使用している。また、静音性に優れ、メンテナンスフリーという特徴がある。充電した電力を使い切った場合には、専用のポータブル太陽光パネルで発電した自然エネルギーで再充電することもできる。環境にも優しく、燃料運搬の必要もない。災害時の避難所となる学校・体育館・武道場のバックアップ電源として使えるだけでなく、精密製品や医療製品のある室内や病院などでも使用可能だ。

環境ビジネス・ソリューション事業部の髙橋智也氏は「自然災害が年々増加し脅威を増す中で、必要なエネルギーを持ち運び、創出できる大容量ポータブル蓄電池にスポットが当たっている」と話す。

環境ビジネス・ソリューション事業部の髙橋 智也氏

例えば、3年前の台風15号、19号の被害。千葉県南部で送電線が分断され、長い所では10日~2週間の停電となった。その時の支援にも「タメルラボ.」は活躍した。フル充電して現地へ運び、昼間はソーラーパネルを広げ蓄電池へ給電。冷房機器や照明、感染症予防対策機器の稼働を可能にし、医療機器や携帯の充電などにも大きく寄与した。「タメルラボ.」は現在、自治体の防災拠点約400カ所で導入が進んでいる。

長い目で見て信頼できる製品を

2021年、国土交通省は、災害時に救援や復旧の広域拠点となる「防災道の駅」を全国で39カ所を初めて選定した。その1つでもある、静岡県富士宮市の道の駅【朝霧高原】においては、一般社団法人ルートスクエアが防災・地方創生機能強化のためのパッケージ提案を進めており、その中でも重要な役割を担うバックアップ電源として「タメルラボ.」が採用されている。

防災で一番に思い浮かぶのは食料の確保だが、それと同じくらい必要なのがエネルギー。発電機は小型でも数十キロの重量があり、これに燃料が加わることで持ち運びには気を配る必要がある。更に災害で道が寸断されるケースでの燃料の輸送は、食糧より遥かに困難だ。蓄電容量が大きく、持ち運びやすいという運用面でも「タメルラボ.」は高く評価されている。

また、安全性の面にも気を配っている。蓄電池の核となるリチウムイオンは取り扱いが難しい。その安全性を担保するものとして、「タメルラボ.」は各種の国際的な安全認証規格を取得している。

「備えとして置いていただく蓄電池は長年使って頂くものと考えています。その為に安全基準を高く定め、常に製品品質の向上に取り組んでいます。当社製品は7年間の保証を付けています。長期間の保証は製品に自信があるからこそ実現できるものであり、皆様へ常に安心を与えられる製品であってほしいから」だと髙橋氏はいう。

AEDの横に「タメルラボ.」を

2020年、コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まると、業界で初めてワクチン保冷庫向けのポータブル蓄電池のレンタルを開始した。

「きっかけは新型コロナワクチンの管理における、冷凍庫の電源まわりの事故が相次いだことです」と髙橋氏。

新型コロナワクチンは、マイナス70度で保存する必要があり、それを維持するための冷凍庫は大量の電力を必要とする。電気容量の足りない保管施設ではブレーカーが落ちて冷凍庫が機能しないといった事故が、接種開始当初は相次いだ。このような想定外の事故や万が一の停電で冷凍庫が止まれば、内部のワクチンは廃棄せざるを得ない。

当時、予算が確保できた自治体ではバックアップ電源として蓄電池を購入していた。しかし、いつまで続くか分からないコロナ禍のもとでの大規模ワクチン接種に対し、多額の予算をかけて全ての施設へ蓄電池を整備できない自治体も多かった。そこで、「タメルラボ.」の月額でのレンタル事業を開始した。埼玉県深谷市では、コロナワクチン接種開始時にはポータブル蓄電池を購入したが、接種拠点の増加に伴う追加導入の際はレンタルを選択し各施設への導入を実現し、限られた予算の中でも市民の安心安全を守る取り組みを続けている。

「新型コロナウイルスのワクチン管理のニーズに応えるための自治体向けのレンタルモデルでしたが、現在は選挙の事前投票会場やイベント会場、撮影現場など、短期で電力を必要とするシーンで幅広く活用いただいています。私たちが思いつかないようなところで電力を必要としている人がいる。『タメルラボ.』が様々なシーンで活躍してくれればうれしい」と髙橋氏は希望を語る。

レンタルは最短で3カ月から。例えば8~10月には、台風が直撃する地域では復旧が遅れれば何カ月も停電するケースがある。そうした場合に備え、レンタルで3カ月だけバックアップ電源を準備することも可能だ。また、ある地域で大きな地震や自然災害が起きた場合、発電機も蓄電池もない状況を、レンタルのポータブル蓄電池で打開することもできるだろう。

加えて、「タメルラボ.」へは、太陽光パネルからだけでなく、発電機や電気自動車(EV)からも給電することができる。災害地域におけるエネルギー源として、蓄電池・EV・発電機の3つを揃えれば、ほとんどの状況で電源が確保できるようになる。

このような災害への備えは自治体が特に重視するところで、例えば東京都では中小企業の事業継続計画(BCP)を実現するための電源の確保に関し80%もの補助を出している。また、2021年4月に施行された「令和3年度介護報酬改定における改訂事項について」では、2024年から介護業におけるBCP策定が義務付けられた。BCPに蓄電池が欠かせないことは国の方針からも明らかだ。

髙橋氏は「将来的には、AED(自動体外式除細動器)の横に、常に当社の蓄電池がある状況が、我々の目指すところです。AEDは義務ではありませんが、ほとんどの施設に入っています。そうした存在に『タメルラボ.』もなっていければと思います」と今後の展望を語った。

 

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