きのこメーカー対決 雪国まいたけvsホクト

「菌活」という言葉も生まれ、きのこが持つ様々な機能が注目されている。今後のグローバル展開に向けて準備を進める雪国まいたけ、健康食材としてのきのこの価値を国内外にアピールするホクト、大手きのこメーカー2社の方向性を探る。

きのこの健康機能を訴求して世界を目指す2社

きのこは食物繊維が豊富で、生活習慣病の予防などに効果があるとされる。「菌活」という言葉も生まれ、きのこの健康機能も注目されている。国内のキノコメーカーも、味だけでなく、健康志向に応える食材としてのきのこ価値を前面に出し、いっそうの消費拡大と新市場創出に力を入れる。

1983年、新潟県南魚沼市で創業した雪国まいたけは、1980年に舞茸の人工栽培に成功し、幻のキノコとされていた舞茸を、食卓に欠かせない食材にまで育てたメーカーだ。1986年の「第1バイオセンター」設立を皮切りに舞茸生産を本格化し、2002年にエリンギ、2004年にはブナシメジの生産を開始した。2019年には三蔵農林を子会社化することでマッシュルーム生産にも乗り出し、「プレミアムきのこ総合メーカー」に成長するための基盤を確立している。

2023年3月期から2026年3月期までの中期経営計画では、国内市場の成長と生産技術のさらなる革新、グローバル展開を3本柱に、「プレミアムきのこ総合メーカーとしてグローバルに展開し、成長し続ける」という中長期ビジョンの実現を目指す。国内では特に西日本での知名度アップなどに注力し、工場のFA化推進による生産効率化を図る一方、海外では、マッシュルームを中心に事業機会の探索を進め、2026年3月期には海外売上収益比率を30%とする計画だ。

一方、ホクトは、1964年に食品包装資材のディーラーとして長野県長野市でスタートし、1968年にはきのこ栽培用のポリプロピレン容器の製造を開始した。1975年、長野市に「きのこ総合研究所」を設立したあとは、ヒラタケ、エノキタケ、ブナシメジの新品種を次々と開発し、長野県内や福岡県、新潟県などに「きのこセンター」を開設していく。きのこ総合研究所は、新品種開発や新栽培素材・技術の開発、さらには健康機能の研究などを担う同社の中核だ。1986年には世界に先駆けて純白のエノキタケも開発している。

現在、ホクトはキノコの研究開発から生産、販売まで携わる「きのこ総合企業グループ」を標榜し、米国、台湾、マレーシアにも拠点を拡大している。2023年3月期から2026年3月期までの中期経営計画では、「きのこで健康を届けることを使命に市場と消費を拡大」をビジョンの一つに掲げ、健康食材としてのきのこの訴求、ブランドの強化を目指す。加工品事業でも、生キノコ販売との相乗効果を訴求して、健康をテーマとした商品開発力を強化する。

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