スマート農業の進化 水田用自動給水機とパワースーツが省力化を後押し

(※本記事は「JAcom 農業協同組合新聞」に2025年7月30日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

スマート農業という言葉を聞くと、ロボットトラクターやロボット田植え機など、自動運転や無人運転の農業機械を想像する。また、大型の米農家に人気のドローンの農薬散布やセンシングもスマート農業の代表と言える。

だが、農水の進めるスマート農業実証プロジェクトによると、スマート農業の社会実装を図るため、先端技術を実際の生産現場に導入し技術実証を行うとともに、技術の導入による経営への効果を明らかにする事業とあり、先端技術を実際の現場に導入できれば、営農管理システムも、この後説明する農業にとって新しい技術もスマート農業に加えることができる。今回は、農業の最適化・時短化が叫ばれる中、いまだに手作業が優先され、機械化・システム化が導入されていない水田用自動給水機と作業補助装置パワースーツについて説明したい。

まずは自動給水機。田んぼの見回り・水管理は、機械化され時短化された農業の中でいまだに大きな作業時間を占める。そんな中、この10年ほどの間に水田用自動給水機と呼ばれるものがたくさん出てきた。値段も様々でフルセット40万円を超えるもの、パイプライン専用品など自動化しやすいものから順番に世の中に出てきた形になる。ただ、日本の水田の場合、約70%がオープン水路となっている。パイプラインならば、バルブをモーターで回す機構を考えれば、水の入止水を制御できるが、オープン水路の場合、水路からの入水経路に物理的シャッターを設置しないと水を制御できない。簡単そうに見えるが、ごみの挟み込み・水圧を押してシャッターを押し切る技術などなかなか難しい。

続きは無料会員登録後、ログインしてご覧いただけます。

  • 記事本文残り71%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。