人口減の地域で不可欠な事業を残すため M&Aにチャレンジ

地域社会に欠かせないサービスを提供する企業に求められるのは、社長が引退した後も事業が継続していくこと。北海道・湧別の吉田設備工業は、M&Aによる事業譲渡に挑戦し、引受先となる企業と出会った。

経営者の高齢化が進む日本で、最も懸念されるのが、経営が順調な企業の後継者不在による廃業だ。人口が減少している地域では、その企業が担っていたサービスがなくなるダメージも大きい。北海道湧別町の吉田設備工業は、地域のインフラとなっている企業がM&Aにより事業を長期的に継続できるようになった事例だ。同社の現会長 、吉田隆一氏は、2021年9月、近隣の士別市にある同業のフジヤ住設工業に、事業を譲渡することを決断した。

人口減の中の需要増

湧別町は北海道東部、オホーツク海に面した漁業と農業のまちだ。2009年10月に湧別町と上湧別町が合併した当初、人口は1万4000人ほどだったが、2022年現在、8200人ほどまで減少している。北海道に特徴的な大規模農業や、カキやホタテの養殖業をはじめとする漁業は盛んだが、過疎化が進んでいる。

そんな中で、管工事・空調設備工事業を営む吉田設備工業は受注を伸ばしていた。吉田氏は2代目で、高校を卒業してから50年にわたって地域にサービスを提供してきた。人口減の中で事業が成長した背景には、住宅や公共施設の設備の高度化がある。より快適な環境を求めてボイラーを設置し、セントラルヒーティングを導入する、また地球温暖化に合わせて比較的冷涼な同地でも冷房設備を導入する、といった建築物は増えている。

「設備の複雑化に対応する中で、『吉田でなければできない』と要請されることもあり、工事の規模が拡大、受注は増加していきました」と同氏はいう。

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