早稲田vs慶應、ベンチャー支援対決 VC新設など新たな動きも

大学発ベンチャー企業数は年々増加し、2020年度は2905社と、2015年度比1.5倍となっている。ベンチャー企業数が最も多いのは東京大学で、京都大学、大阪大学がこれに続き、私大では同数で早稲田、慶應義塾が10位となっている。2大学のベンチャー支援体制や産学連携実績を比較する。

ベンチャー支援体制強化を進める私大の2トップ

経済産業省によると、2020年度の大学発ベンチャー数は2905社で、2019年度から329社増加し、企業数、増加数ともに過去最高となった。1773社だった2015年度の約1.7倍で、急速な増加といえそうだ。最も多いのは東京大学の323社で、222社の京都大学、168社の大阪大学がこれに続く。私大では、東京理科大学が111社で最も多く、前年度の20位から7位へと大きく順位を上げた。私大でこれに続くのが、90社で同数の早稲田大学、慶應義塾大学だ。

いずれもベンチャー創出に力を入れ、支援体制の強化を進めている。早稲田大学では2019年、研究戦略立案、産学連携、知財管理、アントレプレナーシップの4機能を統合した全学的な研究支援組織「リサーチイノベーションセンター」を設立し、大学シーズとビジネスニーズをマッチングするワンストップサービスを提供している。

また、これまで都内のVC2社と提携してきた早稲田は、この春にも、初めての大学VCを設立してベンチャー投資を加速する。新たなVC「早稲田大学ベンチャーズ」は、大学が公開する知財からシーズを探し、ベンチャーへの出資、会社設立支援を行う。特に力を入れるのは、革新的な技術に基づく「ディープテック」だが、理系のみならず行動経済学などの文系分野も対象にするという。1号ファンド予定規模は80〜100億円で、3、4年で20社程度に出資を予定している。

慶應大学では、2015年に「慶應イノベーションイニシアティブ」(KII)というVCを設立しており、これまでのファンド総額は合計約150億円、投資実績は27社にのぼる。1社あたりの投資金額は4000~8000万円台が13社と最多だが、1.2億円以上も4社ある。慶應はこれまで、ウェブ会議サービス・テレワーク用ブースなどを展開するブイキューブや、「人工クモの糸」などの合成タンパク質素材を開発するSpiber、脳波によって手指の麻痺などを治療するBMI(ブレーン・マシーン・インターフェース)技術を活用したリハビリ技術を開発しているConnectなど、革新的なスタートアップを数々生み出し、成果をあげている。

支援施設としては、湘南藤沢キャンパス地域で、中小機構や藤沢市、神奈川県と連携して、起業家育成施設「慶應藤沢イノベーションビレッジ」を運営する。特に湘南藤沢キャンパスにおけるシーズの事業化を総合的に支援する一方、起業を志す研究者や学生のみならず新事業創出を目指す企業や個人も、大学との共同研究や技術相談ができる場となっており、常駐するインキュベーション・マネージャーが大学や関連施設と連携して創業や販路開拓などをサポートする。

政府は、2025年までに大学・研究開発法人などへの企業の投資額を、2014年の3倍とすることを目指し、2016年には「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」も策定している。大学での革新的な研究成果を迅速に社会に実装することは、社会経済に大きな変革をもたらし、日本の国際競争力向上にも資する。様々なシーズを大きく育て、大学発ベンチャーを今後も着実に増やしていくには、円滑な事業化を産官でサポートする仕組み、体制づくりをいっそう拡充し、起業意欲を醸成していくことが欠かせない。

両大学の概要

早稲田大学

創立 1882年(東京専門学校)
創立者 大隈 重信
所在地 東京都新宿区
代表 田中 愛治(総長)
学生数 学部37,921名(通信教育課程除く)、大学院8,409名
(2021年5月現在)
学部・
研究科数
● 学部:政治経済学部、法学部、文化構想学部、文学部、
 教育学部、商学部、基幹理工学部 など計13学部
● 大学院:政治学研究科、経済学研究科、法学研究科、
 文学研究科、商学研究科、基幹理工学研究科 
など計23  研究科

出典:ホームページ

 

慶應義塾大学

創立 1858年
創立者 福澤 諭吉
所在地 東京都港区
代表 伊藤 公平(慶應義塾長)
学生数 学部28,667名(通信教育課程除く)、大学院4,802名
(2021年5月現在)
学部・
研究科数
● 学部:文学部、経済学部、法学部、商学部、医学部、理工学
部、総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部、薬学部
計10学部
● 大学院:文学研究科、経済学研究科、法学研究科、社会学
研究科、商学研究科、医学研究科 など計14研究科

出典:ホームページ

 

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早稲田大学

出典:経団連・経産省「大学ファクトブック2021」(2018年度、2019年度調査)
ベンチャー数は経産省「大学発ベンチャーデータベース」

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