クラウドサービスの活用で 自治体DXや外部との共創を促進

国による「自治体DX推進計画」策定を受けて、自治体ごとの計画策定やDX推進への取り組みが始まっている。そのDX推進の現状や、クラウドサービスを活用した外部との共創について、KUコンサルティングの高橋邦夫氏とBox Japan 執行役員の大屋俊一郎氏に聞いた。

※本インタビューは換気に配慮した環境下において、話し手、カメラマン、聞き手が十分な距離をとった上で撮影しています。

高橋 コロナ禍で、自治体では感染者の把握や給付金の支給、ワクチン接種などに関する業務で大変な状態が続いています。これらの業務については、もっとデジタル化が進んでいれば、いくらかスムーズにできたのではないかという反省もあるでしょう。

2020年12月に発表された国の「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を受け、各自治体は今後、DX推進の計画を作って公表することになります。実は自治体の取り組みでは、二極化が始まっています。積極的に取り組み、いち早く計画を発表したところもあれば、「どこから手をつけて良いかわからない」という自治体もまだ多いようです。

システムの標準化やマイナンバーカードの交付のように国がある程度、音頭を取ってくれて、それに付いていく政策なら苦労しないでしょうが、テレワークの推進や手続きのオンライン化は、自治体が進めなければなかなか動きません。そのための体制を作る際には、情報システム部門にやるよう指示するだけではうまく行きません。これはDXではデジタルだけでなく、むしろトランスフォーメーションが大事だからです。ですから、自治体DXでは行革部門の力や職員の意識改革なども必要です。このような取り組みは、トップの意識が高い自治体では比較的、順調に進んでいると感じます。

高橋 邦夫 KUコンサルティング 代表

コンテンツクラウドで自治体のDXをサポート

大屋 私たちはコンテンツクラウドのBoxを提供しており、そのサービスはグローバルで11万を超える組織にて利用されています。公文書などコンテンツの安全な管理や有効活用は行政のDXとも切り離せず、現在、日本の中央省庁、独立行政法人、自治体とも対応策について多数のディスカッションを重ねています。

Boxの大きな特長は、全職員が利用する基盤サービスでありながらも、各部門の業務に合わせた利用が可能なことです。いわばレゴブロックのような仕組みで、ブロックは私たちが提供しますが、業務に当てはめる部分は利用者が自由に行えます。ゆえ、行政事務にも適用可能ですし、各事業部門に合わせたレゴブロックの組み立て方の支援も行っています。

高橋 私は自治体でもBoxのようなクラウドサービスを活用し、仕事の仕方を改善していく必要があると思います。自治体のネットワークは現在、マイナンバー利用事務系とLGWAN接続系、インターネット接続系に分かれています。例えば、外部の事業者から送られたメールはインターネット側に届き、メールの情報をLGWAN側に取り込む際には無害化処理がなされます。その際、ファイルが開けなくなるようなこともあり、メールの情報を業務に活かすのが難しいという問題があります。

また、自分たちが作成したファイルを外部の事業者に送る際もファイル交換サービスを使う必要があり、手間がかかります。このように自治体のネットワークには民間企業とは異なる制約があり、インターネット側とのやり取りでは負荷が大きく、職員はストレスを感じていると思います。

自治体のネットワークは基本的に、組織内でのドキュメントの交換や利用を中心に作られています。そして外部に対しては、紙に印字して上長の承認や決済を得た情報しか出せないという文化がありました。しかし、今は外部の様々なプレーヤーが行政に参加する時代です。そこではNPOやNGO、民間企業との協業も必要でしょう。

上長の決済をもらったものしか外に出せなければ日々のやり取りは難しく、仕事のスピード感もなくなります。今後はクラウドサービスも活用し、未決済の情報のやり取りをしやすくして、安全性との両立を図りつつ外部との共創を促進することが必要でしょう。

自治体DXへの温度差で今後予想される二極化

大屋 高橋さんは2021年9月に出された著書『DXで変える・変わる自治体の「新しい仕事の仕方」推進のポイントを的確につかみ効果を上げる!』(‎第一法規)で、自治体DXについて「個別最適ではなく全体最適」、そして「表面的な事象への対症療法ではなく根源治療」が必要と書かれています。

コンテンツの領域でも同様のことが言えます。これまでは紙の文化をそのままITの世界に取り入れてきた対処療法の面があったと私は感じます。紙の文書を人数分コピーして配布するという従来の文化に疑問を持たず、そのままシステム化したため、文書をメール添付で人数分複製し、ばらまく形になっていました。

クラウド活用が一般化することで、コピーを生むのではなく、皆で原本となる1つのファイルにアクセスし、業務をしていくことが可能になりました。それによって仕事のための仕事を減らし、コアな業務に集中できます。そのようなアプローチが高橋さんのおっしゃる全体最適、根源治療にあたるのではないかと思っています。

また、私たちは常にお客様の声に耳を傾け、使いづらい部分は改善し、新たな機能も取り入れ、サービスを改善し続けています。自治体の皆様には最新で最も安全なことに加え、先行利用者の働き方や業務遂行の叡智を活用できるとも言えます。同じような働き方のビジョンを持つことが、自治体と民間企業など外部との共創を生むきっかけにもなると思います。

大屋 俊一郎 Box Japan 執行役員

高橋 クラウドに関してよく誤解されるのは「クラウドはそのまま使うしかなく、自分たちの仕事をそれに合わせなければいけない」ということです。それはある意味で正しく、自分たちの仕事を世界標準、日本標準に合わせていくことは大切です。しかし、実際にはクラウドの製品には様々なパーツがあり、パーツを自分たちの業務に合わせて組み合わせられます。また、Boxのサービスのように、それらは日々進化しており、進化をうまく取り入れていくこともできます。

自治体DXでは自治体ごとの温度差があり、私は今後おそらく二極化が進むと思います。DXを成功させた「勝ち組」といわれるような自治体と、嫌々ついてきて職員がアナログとオンラインに分かれ、二重行政になってしまうような自治体への二極化です。自治体の皆様には今、ここでひるまず、しっかりついてきていただきたいです。

2021年12月15日、東京・表参道の事業構想大学院大学にて対談

 

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