pokepayとセールスフォース デジタル地域通貨の発行を支援

オリジナル電子マネー・ポイントを発行・管理できるプラットフォームを運営するポケットチェンジが、顧客関係管理(CRM)のグローバルリーダーであるセールスフォースと連携。自治体などの「デジタル地域通貨」発行支援を本格的に開始し、地域経済圏の構築を後押しする。

少子高齢化で高まる
地域経済圏構築の重要性

オリジナルの電子マネー発行プラットフォーム「pokepay(ポケペイ)」の開発・運営を行うポケットチェンジと、CRMのグローバルリーダーであるセールスフォース・ドットコムは4月22日、pokepayとセールスフォースの製品・エコシステムを連携させることを発表した。今回の連携を通じ、デジタルバリュー(電子マネー、ポイント、クーポン)の取引履歴や会員・加盟店データとCRMデータを連携する統合管理を、業界で初めて実現させる。

それにより、顧客・取引先データの可視化や一元管理、見込顧客や既存顧客へのインセンティブ付与による自社会員基盤・経済圏の構築や拡大、地域等のコミュニティ活性化を狙う。

具体的には、電子地域通貨・ポイント、地域振興券などを発行する自治体や金融機関向けに「デジタル地域ポイントないし通貨」の発行支援を開始する。また、電子マネーやポイント等のデジタルバリューをもっと活用したいという様々な業界・コミュニティに対し、CRMやMA関連のセールスフォースの製品と連携可能なパッケージ・ソリューションとして提供していく。

少子高齢化が進む日本では、地方の自治体が将来にわたって生き残っていくためには、「地域経済圏で稼ぐ力」の創出がこれまで以上に重要になっている。近年は独自の地域通貨を導入する自治体が増えており、例えば新潟県の佐渡島ではpokepayを活用し、島内で使える観光地域通貨「Datcha coin(だっちゃコイン)」を発行。「さどまる倶楽部アプリ」をダウンロードすれば利用できる会員サービスで、会員は交通手段の割引や島内加盟店での様々なサービスを受けられる。

しかし、このような地域通貨を導入したものの、上手く機能していない自治体も多いという。

「それは、手段が目的化してしまい、ポイントを付与すれば満足してしまうからです。大切なのは、本当につくりたい経済圏とはどういうものなのかを地域自身が明確にし、ビジョンを持つこと。その設計がないと結局、ポイントや地域振興券は利用者にとって利便性の高いスーパーやコンビニなどで使われて終わりで、地域の事業者に落ちてきません。さらには、需要の先取りに寄与はしても、利用者の満足やリピートを得るために"つながる"インセンティブになりにくい」と語るのは、セールスフォース・ドットコム、金融&地域DX営業本部統括部長の井口統律子氏だ。

左からセールスフォース・ドットコム エンタープライズ金融・地域DX営業統括本部 金融&地域DX営業本部 統括部長 井口 統律子氏、ポケットチェンジ 代表取締役 松居 健太氏

単なる地理的区分でなく、
コンセプトでファンを増やす

地域経済圏構築の目的とは、地域の事業者が儲かること、その地域にまた来てもらえること、そして地域の消費が増えることだ。

「その原点に立ち戻って、地域の縦割りを取り払い、地域課題の何を解決するために、どのような技術をどう使うかという点からビジネスモデルを検討するべきです。課題さえわかれば、我々はそれを考えるお手伝いもできますし、技術や実装も、今はいかようにもできます」(井口氏)

例えば、プラットフォーム上のデータの活用方法や、デジタルバリューの在り方や組み合わせ、ファーストフェーズはこうだがセカンドフェースはこのくらい広域で使いたい、予算はこれくらいで年間これくらい回したいなど、あらゆる課題に柔軟に対応が可能だという。

ポケットチェンジ代表取締役の松居健太氏は、「電子地域通貨・ポイント、地域振興券などを発行する自治体や金融機関では、『国や県からの補助金が付いたから』、『よそがやっているから』といった理由で導入するケースが多いと感じます。その際、よそがそれによって成功しているのか、どのような目的で導入しているのかといった重要な点は、あまり考慮されていないように感じます。結果、一過性の単発的なバラマキを何度も繰り返すことに終始してしまうことが散見されます」と語る。

需要喚起のための地域振興券は一時的な需要の先取りはできる。また、プラットフォームの提供側が何らかの行動を人々に期待する際、わかりやすいインセンティブとしてポイントやクーポンが用いられる。しかし、ユーザーに「〇〇をして欲しい」というだけでは、サービスの設計としては不十分だ。それらの取り組みを一過性のもので終わらせず、地域活性化に資する持続可能なものにしていくには、「何のためにやるか」という目的意識がやはり重要になる。

「さらに、地域住民の心が集まるようなコアな仕掛けやコンテンツを作ることも、電子地域通貨やポイントを成功させるカギと言えます。コミュニティを形成する際は、単なる地理的な区分ではなく、何か別のコンセプトで括られているとそこに愛着を持つことができ、ファンとして所属する意味が出てきます。そして所属しているが故に、『そこにお金を使いたい』と思えるようになるのです。また、何かコミュニティ色の強いテーマ設定ができれば、さらにユーザーを惹きつけられると思います」(松居氏)

新たなビジネスモデル構築を
目指す地域を募集

pokepay とセールスフォースのCRM /MAの統合では、消費者・加盟店データや購買データを連携させる。これによってデータの利活用や、店舗・施設・地域・コミュニティ等の経済圏をさらに活性化できる見込みだ。

地域経済圏の構築においては今後、持続可能な開発目標(SGDs)や脱炭素に関する取り組みを「地域プラットフォーム」で推進する概念実証(POC)に参画して、新たなビジネスモデルを構築したい地域(行政・金融機関)を募集していく。

「地域経済圏の構築では、3~5年後に地域の事業者が進化していけるような仕組みづくりが必要です。そこで、『将来の地域づくりのため、こういう考え方で地域経済を作り、地域の事業者を支援することを実験的にやりたい』と考える地域を募集します。マスではなく地域のプレーヤーから、本気でビジネスモデルを作るところが出てきてくれれば良いと思います」(井口氏)

「独自経済圏」構築で実現できること

 

今後は2社のCRM 統合による強みを活かして、地域や地域の事業者を盛り上げ、持続可能な地域づくりをさらに支援していく方針だ。

 

地域経済圏確立のための実証実験を推進するため、専門的な支援が必要な事業者を募集

地元産業の支援、観光誘客、ふるさと納税拡大、SDGsや脱炭素社会の実現などを目的に、「地域プラットフォーム」による新たなビジネスモデルを構築したい事業者(行政・金融機関)を募集。

 

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