医療・ヘルスケア領域で成功する事業アイデアの発想法と絞り込み

医学・行政・ビジネスの3つの観点から医療・ヘルスケア業界における新戦略を考察する本連載。今回は事業開発を行う際の"型"について考察する。加藤氏が提案する2つのフェーズ・4つのステップに沿った思考・実践のなかでも鍵となるのは"発想"と"絞り込み"だ。

2つのフェーズ
「戦略的発想」と「社会実装」

最近、医療・ヘルスケア領域の新規事業の立ち上げに関する社内講演や、新規事業のアイデアを評価する社内コンテストの審査員をさせてもらうことが増えました。多くの大企業で医療・ヘルスケア領域の新規事業を見ていく中で、適切に新規事業を創出していくためには、その考え方に"型"があると感じています。今回は、「医療・ヘルスケア領域」に特化して、新規事業創出の"型"についてお伝えします。

筆者は、新規事業開発は「戦略的発想」と「社会実装」の2つのパートからなると考えています。前半の「戦略的発想」とは、新規事業開発のアイデアの候補を絞ったうえで何個かにするフェーズ、そして後半の「社会実装」は、考えたアイデアを自社や自分、現在の時代や状況などを考慮しながら商品・サービスとしていくフェーズを指します(図)。以下に、順を追ってこれを解説していきます。

図 医療ヘルスケア領域の新規事業の考え方

出典:筆者作成

 

多くの発想を、医療の視点も
ふまえて絞り込む

前半の「戦略的発想」はさらに「Idea(たくさん発想)」と「Strategy(絞る/選ぶ)」という段階に分けられます。

「Idea(たくさん発想)」はその名の通り、たくさん発想をすることです。この際には日本で制度としてやれるかやれないか、マネタイズとして儲かるか儲からないかなどは「一切考えない」ようにします。このような商品・サービスがあり得る、ということをただひたすら挙げていきます。家の近くのコンビニでオンライン診療(遠隔診療)が受けられるサービス、クリニックに患者さんを送客したらキックバックがもらえるサービス、個人に対する医師の顧問サービス...などです。本当に制度などは全く考えなくてもよく、数を増やすことを意識しましょう。海外事例を参考にしたりするのはこのフェーズのためで、日本でできるかどうかは別として、日本にないサービスを知ることに役立ちます。

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