総務省の新制度「地域プロジェクトマネージャー」とは?

地域の活性化やDXなど、重要プロジェクトを担う人材を地域に呼び込むための支援策として、総務省は〈地域プロジェクトマネージャー〉制度を創設。その狙いと、求められる人材像を聞いた。

地域を"チーム"としてまとめる人材

都市部のマンパワーを地方へつなぐ仕組みの1つとして導入された〈地域おこし協力隊〉。開始から10年超、地道な地域づくり活動を中心に着実に成果を上げてきた。隊員数の増加に伴い、隊員が地域活性化に向けたプロジェクトに従事する事例も増えてきており、こうした事例を成果へ繋げていくには、それに必要な態勢をしっかり構築することが重要となる。

こうしたプロジェクトで成果を生むためには、外部専門人材、地域住民、行政、民間などが連携し、"チーム"となって取り組むことが不可欠だ。総務省・地域自立応援課の菊地信果夫課長補佐は「チームとして取り組みを進める際には、立場もさまざまな関係者間の橋渡しを行いつつプロジェクトの進行をマネジメントする、"ブリッジ人材"が必要です。本制度は、そうした人材を〈地域プロジェクトマネージャー〉として任用し、地域の重要プロジェクトの成功を支援するものです」と話す。

求められる人材像と財政措置

理想的な〈地域プロジェクトマネージャー〉の人材像には、①観光やITなど特定領域で専門的なバックグラウンドを持つ、②それらの知見を活かした実務経験と人脈がある、③地域の実情を理解しているといった要件が挙げられる。

「地域との信頼関係をある程度築けているという面も考えると、地域おこし協力隊のOB・OGの方なども有力な候補となるのではないかと考えています」

プロジェクトマネージャーとして十分なスキルがあれば、これまでつながりのなかった外部専門人材や関係人口的にかかわってきた人材でもよいが、その場合は、当該地域の関係者との信頼関係を速やかに築く能力も求められる。

本制度では、1市町村あたり1人を上限に、〈地域プロジェクトマネージャー〉の雇用に要する経費について上限650万円、最大3年間の特別交付税措置を行う。

「地域おこし協力隊と同様に、地域活性化施策でありつつ、都市部人材の地方移転を進め、人材の確保に苦慮する自治体を支援する意図があります。そのため、地域要件として、3大都市圏内やそれ以外の都市地域から当該地域に移住して活動していただくことを条件としています」

プロジェクトベースでの人選を

この制度の重要なポイントは、あくまで"プロジェクトベース"だということ。まず地域で自らの課題を解決するためのプロジェクトを策定し、それに必要な人材の要件・定義などを明確化したうえで自治体が公募を実施、採用に至った人材に対して財政措置が行われる。つまり、目指したい将来像が地域で共有されており、それを実現するためのプロジェクトであることが前提で、首長の旗振り、議会での議論・議決等を通じた地域の理解が重要だ。

「本制度では、地域おこし協力隊と同様、議会での議論・議決等を通じて地域の理解が得られていることを前提に、様々なプロジェクトに対して活用が可能です。ぜひ本制度を上手く活用して、高い成果を目指していただければと思います」

図 本制度活用の流れ

本制度では1市町村あたり1人を上限に、地域プロジェクトマネージャーの雇用に要する経費について上限650万円、最大3年間の特別交付税措置が行われる

出典:インタビュー内容を元に編集部にて作成

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