海産物「ほや」の可能性を追求し 国内消費量拡大を目指す
東日本大震災に端を発した韓国の禁輸措置により、宮城県産の「ほや」が苦境に立たされている。過剰供給により廃棄し続ける状況に待ったを掛けたのが、涛煌の佐藤代表だ。「ほや」の収穫から加工、流通をコントロールし、新たな食べ方を提案することで国内消費の拡大を狙っている。

佐藤 文行(株式会社涛煌 代表)
禁輸措置で苦境に立つ
宮城県産「ほや」
震災前は国内生産量の8割を誇った、宮城県を代表する海産物「ほや」。凹凸のあるその姿かたちから「海のパイナップル」と呼ばれ、東北地方では刺身や酢の物などの生食で親しまれてきた。しかし、東日本大震災を機に、長らく生産量のトップを守ってきた宮城県は、2019年に初めて北海道に首位の座を奪われてしまった。背景には震災後の風評被害により、輸出の7割を占めていた韓国が2013年から禁輸措置を講じたことがある。宮城県では「ほや」の水揚げ量の調整と廃棄処分を余儀なくされた一方で、北海道が韓国向けに生産を増やしたのだ。

「海のパイナップル」とも呼ばれる「ほや」 Photo by naoko/Adobe Stock
そんな苦境にあえぐ地元の漁師たちを支援するため、様々な取り組みにより「ほや」の国内消費量の拡大を目指しているのが、涛煌(とうこ)の代表、佐藤文行氏だ。同事業に乗り出したのは、約30年にわたってかまぼこ製造会社を経営していた佐藤氏の元に、宮城県漁業協同組合が相談を持ちかけたことがきっかけだった。
「同じ食品業界に携わる者として、『ほや』の生産について調べてみました。すると、処分費用や漁師の減収分は東京電力が補償しているものの、『ほや』の育成には種付から3年程度の時間を要することがわかったのです。震災で流された養殖施設を作り直して、ようやく水揚げを再開できたのに、廃棄処分しなければならない漁師たちの気持ちを考えると、黙って見過ごすことはできませんでした」
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