官民協働のスタートアップ組織デジタル庁 人に優しいDXを目指す

2020年12月25日、政府は「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定した。方針には、デジタル改革の司令塔となる「デジタル庁」を2021年9月1日に発足させる計画などが盛り込まれている。デジタル改革担当大臣の平井卓也氏に、改革の方向性やビジョン、ビジネスチャンスを聞いた。

平井 卓也 デジタル改革担当大臣

徹底した利用者目線が基本

――昨年末に閣議決定した基本方針の要点と日本のデジタル化の方向性、ビジョンについてお聞かせください。

2001年に施行された「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」を廃止し、「デジタル社会形成基本法」という新しい法律を制定、今後10年20年のデジタル化の方向性、基本的な考え方やビジョンを定める。そして、新しい法律の目的を達成するために、「デジタル庁」を設置する「デジタル庁設置法」を制定する。今回の方針の基本となるのは、この2本の法律の制定と言えるでしょう(関連法案を2021年通常国会に提出予定)。

最も重要なのは「デジタル社会形成基本法」で、ビジョンとして"デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~"を掲げています。法律を定めるに当たっては、デジタル社会形成の基本原則(①オープン・透明/②公平・倫理/③安全・安心/④継続・安定・強靱/⑤社会課題の解決/⑥迅速・柔軟/⑦包摂・多様性/⑧浸透/⑨新たな価値の創造/⑩飛躍・国際貢献)を、デジタル改革関連法案ワーキンググループで取りまとめ、閣議決定をした基本方針に定めました。

――今年9月1日に「デジタル庁」が設立されますが、その目的、ミッションは?

「デジタル庁」は、デジタル社会を実現するための強力な司令塔機能を有し、官民を問わず能力の高い人材が集まり、国民目線で社会のデジタル化を構築していく組織として作られます。

今回のコロナ禍で、これまでの中途半端なデジタル化が国民に大きなメリットを与えなかったという反省を踏まえ、徹底した利用者目線に立ったデジタル化を進めます。国民目線に立ち、アクセシビリティやUI/UXを最重要視したデジタル化を進めていく。それを実現できる組織にしたいと思っています。

「デジタル庁」のミッションとしては、まずは、様々な問題が顕著化した国のシステムを作り直す。各省庁にバラバラだった予算を一元化し全体最適化をしながら、システムを作り替えていきます。

現在、年間8000億円のシステムコストを使っていますが、うち5000億円は単純な保守・維持管理費です。この構造から脱却するため、クラウドベースでユーザー目線に立ったシステムに、アーキテクチャから見直して作り直すことが、「デジタル庁」の仕事だと考えています。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り62%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。