2021年3月号
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ヘルスケア10の新潮流

小規模自治体に福音 IoT×医学知見を実装するまちづくり

梅田 智広(奈良県立医科大学 研究教授)

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人生100年時代を迎え、ますます近くなる医療と日常生活の距離。奈良県立医科大学では、医学的知見を取り込んだまちづくり「MBT」構想に2012年から取り組む。同大学発のベンチャー・MBTリンクは、IoT機器などを活用し、暮らしを通じて健康・安心を支えるサービスの構築を進める。

医学を基礎とするまちづくり
“MBT”とは

〈MBT(Medicine-Based Town)〉とは、奈良県立医科大学(奈良医大)理事長・学長である細井裕司氏の提唱した概念で、従来医療現場でのみ使われてきた医学的知見やノウハウを、地方創生やまちづくりにも活用していく考えだ。奈良医大では、少子高齢社会を快適に暮らすことができるまちの実現を掲げ、医学的知見やノウハウを全ての産業に投入することで産業創成・地方創生に寄与することを理念に、2012年にMBTプロジェクトをスタート。2018年10月にはMBT構想の実現・社会実装をミッションとした大学発ベンチャー・MBTリンク社を設立し、これまでにない医療・健康サービス、製品、システム等の提供を目指している。

奈良医大 研究教授でMBTリンク社の社長を務める梅田智広氏は「人口3000人前後の地方のまちを中心に取り組みを進めています。地方に注力する理由は、人口減少により近隣に病院がない・無医村であるなど、深刻な影響が出ている地域が多くあるためです」と話す。

右) 梅田 智広 奈良県立医科大学 研究教授、MBTリンク 代表取締役社長
左) 根来 秀行 医師、医学博士、ハーバード大学医学部 客員教授、ソルボンヌ大学医学部 客員教授、奈良県立医科大学医学部 客員教授、事業構想大学院大学 理事・教授

奈良医大と橿原市は2015年に包括協定を締結し、MBT構想への取り組みを進めてきた。2020年9月には、MBT研究所、MBTリンク社が北海道沼田町と包括連携協定を締結。IoTを活用した町民の健康増進、予防、見守りなどの仕組みづくりをテーマに連携を図り、健康に安心して暮らせるまちづくりを進めている。

奈良医大MBT研究所、MBTリンク社と沼田町の協定書交換式の様子(上)と、住民への説明会の様子(下)

生体データと環境データを
測定、サービス化

「バイタル(心拍・呼吸数や体温などの生体データ)として何を取るべきか、取得したデータにどう付加価値をつけるかがこの分野共通の課題です」と梅田氏は語る。

MBTリンク社では、オリジナルの健康管理システム〈MBTLINKヘルスケアサービス〉を事業の軸として展開。ウェアラブルデバイスと環境センサーを併用し、利用者へ健康リスクや医療費の予測を提供して行動変容を促すほか、見守りサービスなども提供する。

現在、日本人の主な死因は悪性腫瘍(がん)、心疾患、脳血管障害と言われる。これらの疾患の7~8割は生活習慣や生活環境などの環境要因の影響が大きく、遺伝的要因のイメージが強いがんですら約75%が環境要因だという。梅田氏とともにMBT構想プロジェクトにかかわってきた根来秀行教授は、「がんを含め、さまざまな疾患は生活習慣の改善で予防できる可能性があります。医学的に正しい知見に基づき早くから働きかけることが大切で、実証実験ではそのための基礎データを収集しています」と説明する。

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