多摩川源流部の小菅村 源流文化を守りつつ、村を活性化

東京から約2時間、多摩川の源流部に位置する、人口約700人の山梨県小菅村。美しい自然に囲まれたこの村は、近年観光客と移住者誘致に成功し、注目を集めている。村のこれまでの取り組みと将来構想について、舩木村長に話を聞いた。

舩木 直美(山梨県小菅村 村長)

30年来の悲願が実り
隣の市へのトンネルが開通

山梨県東北部、東京都と山梨県の県境に位置する、人口約700人の小菅村。村の総面積の約95%を森林が占め、その3割は東京都の水源涵養林だ。村の東西を流れる小菅川は多摩川の源流で、大切な水資源を守るための様々な活動が行われている。この山に囲まれた緑豊かな村が近年、首都圏からの観光客や移住者誘致の政策に成功し、全国から注目を集めている。

美しい自然と日本の原風景が残る小菅村

「私が村長になった当時の村の課題は、やはり他の地方と同じく、少子高齢化でした。高齢者率は約46%で、人口はピーク時の3分の1にまで減少していました。人口減が悪いのではありませんが、いかに村を元気に維持させていくかが課題でした」と語るのは、2012年から村長を務める舩木氏だ。

この課題を解決するため、舩木氏は様々な斬新な取り組みにより、小菅村を変革してきた。その一つが、2014年に山梨県大月市と小菅村の間に開通した「松姫トンネル」だ。それまで、小菅村から山梨県の他の市町村に行くには必ず峠を越えなければならず、隣の大月市すら、車で1時間もかかっていた。

「トンネルの開通は約30年前からの悲願でしたが、ついに約5年前、3066mのトンネルを開通することができました。これで大月市への所要時間は約30分に短縮しましたし、人の流れが大きく変わりました。年間に村を訪れる人は倍増して約20万人になったので、道の駅も新たに建設しました」

トンネルが開通すれば人口がさらに減少するのではという懸念もあったが、逆に移住者は増加。現在、村の小学校に通う児童33人の約半数は、移住者の家庭の子どもたちになっている。

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