2020年1月号
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地域特集 福島県

デジタル化で医師不足を解決 地域医療現場のDX

小柳 正和(HealtheeOne 代表取締役社長 CEO)

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医師不足が顕著ないわき市で、医療にデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する企業を設立。デジタルツール導入の効果を「見える化」するため、クリニックの共同運営も開始した。いち早く課題が顕在化した地域のアドバンテージを生かし、いわき発の製品を世界に届ける。

小柳 正和(HealtheeOne 代表取締役社長 CEO)

HealtheeOneは、福島県いわき市に本社を置くIT企業だ。病院・クリニック向けに、保険請求などの事務作業を電子化する様々なシステム製品を開発している。基幹製品は「HealtheeOneクラウド」で、クラウド型診察記録システムと、保険請求等の事務作業のアウトソーシング(BPO)を組み合わせた業務効率化サービスだ。他に、医療機関で保存している紙のカルテを電子化するサービスや、往診時・遠隔診療時でも患者負担額の決済を可能とするキャッシュレス決済、医療機関向けのサイバーリスク保険や、医療機関の施設基準管理のためのシステムも提供している。基本方針は、医師が診療・治療に専念できるよう、診療以外の業務をICTで効率化する、というものだ。

医師不足では現役世代も当事者

同社を創業した小柳正和氏は、福島県いわき市出身。大学進学のため上京し、卒業後は商社に就職。主にICT分野での新規事業・ベンチャーの立ち上げや、事業の拡大などを手掛けてきた。医療とは無縁だった同氏が、地域医療の課題を目の当たりしたのは、2009年に父親を在宅で看取ったとき。

「いわき市は東京に比べれば田舎だから、最先端の治療をするのは難しいだろうと覚悟していました。実際には、最期を迎える場所を探すことさえも大変で、在宅での看取りとなりました」と小柳氏は振り返る。

医療制度・政策に関する興味から、独自に勉強や調査を続けていたところ、2011年3月に東日本大震災が起きた。いわき市は、福島第一原発周辺の自治体から多くの避難者を受け入れている。そこで社会問題としてクローズアップされたのが、いわき市の医師不足。現在人口が約34万人のいわき市は、東北地方では2番目に人口が多い市であるにもかかわらず、医師が少ない。2014年当時のいわき市の人口10万人当たりの医師数は171.2人で、全国平均233.6人の3分の2ほどだった。

危機感を覚えた小柳氏は、自身の得意分野であるIT、ビジネスやデータ分析の知識・経験を生かし、地域課題の解決に生かすプロボノ活動を開始した。事業構想大学院大学2期生の小野寺孝晃氏らが立ち上げたNPO、TATAKIAGE Japanのいわき市振興のためのイベント「浜魂」の2015年の第1回目に登壇。いわき市が抱える医師不足などの問題に若い市民が関心を持つべきだと訴えた。

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