米農家が日本酒づくりに挑戦 英国で最高賞を受賞、世界に売り込む

富山県の米農家の有志が設立した会社「越乃めぐみ」は、地元の酒造会社を子会社化し、酒米作りから酒造り、その販売まで一貫して行っている。その試みを通じて米の生産量を増やし、米農家の仕事を若者にとっても魅力的なものにしていく。

吉田 憲司(越乃めぐみ代表取締役)

農家の有志が会社を設立

富山県富山市の株式会社、越乃めぐみは、酒米の栽培から精米、酒造り、酒販売までを一貫して行っている。2014年7月に、酒米栽培を行う地元農家の有志が設立した。

「一粒一水」は、農家が育てた米のうまみを感じさせることを目指したブランド

「当時は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が話題になっており、米農家は今後大変になると考えていました。従来のように食用米を作っても、海外から安くておいしいお米が入ってこれば、生き残るのは難しくなります。しかし、米作りは続けたいということで、酒米作りを始めました。そして酒米を作るなら酒造りも行い、販売までやろうということになったのです」。

越乃めぐみ代表取締役の吉田憲司氏は、会社を設立した当時を振り返る。酒米作りに至った理由の1つは、その付加価値が高いことだ。酒米は高い評価を得られれば、食用米より高い価格で販売できる。他方で、全国では多くの酒蔵が経営難に陥っており、新たに酒造免許を取得することはほぼ不可能といわれる。そこで、まずは酒米作りに挑戦し、その酒米を使った酒造りは地元の蔵元、吉乃友酒造に依頼することとした。酒米は大吟醸に最も多く使われる山田錦の種もみを用意し、栽培を始めた。

「酒造りで大切なのは、いかにおいしい酒を造るかです」という吉田氏は、当時から今まで様々な場所で話題に上っている山口県の有名な酒蔵を見学するため、吉乃友酒造の杜氏を派遣した。さらに、その酒蔵の幹部を招き、どのようにすれば、おいしい酒を造れるかという話を聞いた。

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