2019年11月号
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デジタル時代の経営者

日本が直面する「2025年の崖」 老朽ITシステムの改革が不可欠

一條 和生(事業構想大学院大学 特別招聘教授)

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2018年9月に経産省が発表した「DXレポート」は、日本企業が目をそらしてきた問題をはっきりと指摘し、産業界に大きな衝撃を与えた。老朽化したITシステムを更新し、IT人材を基幹人材として社内に確保するための意識改革が経営陣に求められている。

月刊事業構想2019年10月号の「デジタル時代の経営者」では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)と世界的に呼ばれている企業活動のデジタル化において、わが国が世界各国と比べて遅れていることを紹介した。

少し復習してみよう。スイスのトップビジネススクールIMDの2018年調査によれば、「デジタル化世界競争力ランキング」で日本は今年、世界63カ国中22位だった。日本企業におけるデジタル化に関して注目すべきことは、「Future readiness」、つまり変化対応のスピードに関して極めて低い評価がなされていることだ。「変化に対する企業の俊敏な対応」(Agility of Companies)という調査項目に関していえば、驚くことに日本は世界最下位という評価なのである。

前回は、日本企業が機敏な対応をできていない理由として、「NEMAWASHI(根回し)」が英語化されていることからもわかる、世界的に悪評高い日本企業の遅い意思決定のプロセスを重要な理由として挙げた。しかし昨年、これとは別に、もっと深刻な原因があることが、経済産業省の発表したレポートで明らかになった。

老朽化したITシステム
更新への「2025年の崖」

2018年9月に発表された、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーション研究会」報告書、「DXレポート:~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開」は、産業界に大きな衝撃を与えた。同レポートは、日本企業のITシステムが技術面で老朽化、肥大化・複雑化、ブラックボックス化していること。そのために、それが経営・事業戦略上の足かせになり、高コスト構造化し、いわゆる「レガシーシステム」(時代の遺物)となって、DXの大きな障害となっていることを明らかにした。

約8割の企業が老朽システムを抱えている

約7割の企業が、老朽システムがDXの足かせになっていると感じている

出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「デジタル化の進展に関する意識調査」(2017年)をもとに経済産業省作成

 

時代遅れのシステムの維持にコストと人をとられ、実にIT関連費用の80%は現行システムの維持、運営に使われている。このため、戦略的なIT投資に経営資源が避けていないという。しかしもっと深刻なのは、「レガシーシステム」にメスを入れなければならないことがわかっていながら、企業が動けないことだった。理由は複雑である。

1つにはお金。ある空運メーカーでは、実に50年ぶりに旅客系基幹システムを変更したが、7年間で800億円の投資を必要としたという。これだけの投資には、かなりの決断が必要だ。容易なことではない。

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