日本企業に求められる 世界基準のブランディング手法

世界的な企業のブランディングを多く手がけてきた石坂昌也氏。現在ブランディングカンパニーで、インドでの新規事業開発に注力している。日本と世界のブランディングの違いから見える、世界基準のブランディング手法とは。

石坂 昌也(Design and Management グローバルブランドデザイナー / CEO)

ブランドの価値を知る

様々な国で世界的な企業のブランディングを手がけてきた石坂昌也氏が実体験したのは、「世界で日本のブランディングが勝てている所は少ない」という事実だった。

「日本のブランディングは、機能やプロダクトの良さを追求し、それを通して人生がどう良くなるのかという共有できる会社の理想像の描き方が不充分で、宗教、年齢、人種の違う外国の人びとに対し、魅力が伝わり切っていなかったのが現実です」。

『グローバルブランディング』と聞くと、「うちは国内だけで大丈夫」「ニッチ商品だからグローバルなブランディングはいらない」という声も聞かれやすい。だが世界を貫くブランドは、日本も貫く。デジタル時代にファンを作れないことは、経営へシビアに響いてくる。総合的ブランド力がなければ、内需や既存ビジネスの利益に頼ることになり、これからの時代を生き抜いていくのは難しいだろう。

「私の言う『グローバルブランディング』とは、『世界基準のブランディング手法』という意味です。どんな会社にでも、使ってもらえる手法かと思います」。

ブランディングをするには、まずブランドの価値を知る必要がある。例えば実際に"ブランドの全貌がいくらなのか"と言えば、世界的に標準として認められている物差しで測れば、世界トップ企業のGoogleで約30兆円の金銭的価値と言われる。

例えば、採用費。膨大な数の天才エンジニアを世界中から集めているGoogleは、ヘッドハンターに頼らずとも、優秀なエンジニアが世界から勝手に集まってくる。いかに素晴らしい会社でも人の流動を抑えることはできない。現在は日本もその傾向が強まり、人材紹介・獲得費用が高騰している。優秀な人材をパワフルなブランドで惹きつけることで、人が流動するたびにかかり続ける巨額な費用を抑えることができる。

広告費で言うなら、Appleは自ら広告しなくても、ファンが勝手に広めてくれる。デジタル時代に自分らしいブランドを認識し構築することで、バイイング広告を減らし、世界中で再現できるのだ。また、利益率で考えると、全く同じ原価でも、ファッションブランドのロゴが入った途端に数倍の価格になり、市場が成立している。

共通するブランド指標の考え方 出典:石坂昌也氏資料

今している約束の危うさ

日本企業が最もブランド力で苦戦する部分について、石坂氏は「自社/自分を発信し、共感してもらう力。つまり、機能の低いものでも、高く売る力」だと話す。

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