2019年10月号
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地域特集 新潟県

佐渡島の関係人口マネジメント 新しい縁故で観光客を惹きつける

清永 治慶(佐渡観光交流機構 専務理事)

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佐渡島のDMOとして2018年に活動を開始した佐渡観光交流機構。島外ファンの会員制度を構築し、観光地データマーケティングの基盤とすることを狙う。理想の中にある昔の日本のイメージで、長期滞在者を増やし、地元経済への貢献を目指す。

清永治慶(佐渡観光交流機構 専務理事兼CMO)

新潟県の佐渡島は、沖縄本島に次ぐ面積を持つ広大な離島だ。江戸時代には金山で栄え、島内の鉱山跡は世界遺産への登録も間近と期待されている。2018年には、佐渡のDMOとして一般社団法人佐渡観光交流機構が発足し、様々な魅力を持つ佐渡島の観光地経営を担うこととなった。同機構の専務理事、清永治慶氏が、佐渡島の観光の未来について明かした。

2025年度に70万人を目指す

佐渡島の観光客数は、1991年の123万人をピークに減少を続けている。2018年は前年比3000人ほど増えたが、50万人には届かなかった。これを、2025年度までに70万人まで回復させることが、佐渡DMOの目標だ。

「2019年度は、ゴールデンウイーク過ぎの時点ですでに前年同月比3万人増という勢いでした。6月18日の山形県沖地震の影響はありましたが、焦らず作成したロードアップ通りに活動していきます」と清永氏は話す。

清永氏は、この20年の佐渡の観光客減少の理由を分析している。まず大きな要因として、帰省する人の減少がある。明治維新以来、長男以外は東京に出るという習慣のもと、多くの佐渡出身者が大都市圏に移住した。成功した人も多く、三井物産を創設した益田孝や、東京大学に初めて入学した女性の1人である憲法学者の久保田きぬ子も佐渡の出身者だ。都会で家庭を持った人は、お盆や正月などのタイミングで家族を連れて帰省する。しかし世代を経るにしたがって佐渡との縁は薄くなり、来島者の減少につながった。

そこで佐渡DMOでは、帰省のような「ご縁」に基づく来島を復活強化する試みを開始している。このため、2019年4月から運営を担当するようになった、「さどまる倶楽部」を活用する計画だ。さどまる倶楽部は佐渡市が創設した会員制度で、佐渡市外に在住している人はだれでも登録できる。

会員になると、指定の島内ホテル・旅館宿泊者限定で佐渡汽船運賃の特別割引を受けられたり、協賛店で割引などのサービスを受けられたりする。目的は、佐渡にルーツを持つ人や、佐渡が好きな人の組織化。会員網を利用すれば、島内事業者は「島のファン」に対する効果的なアプローチが低コストで可能になる。現在の会員数は1.8万人。2019年度中に3万人、2025年度までには10万人まで増やす計画だ。

「年度初めに市からの委託を受け、まずは会員募集を強化しています」と清永氏は言う。会員を増やすうえで最も有効なのは、キャッシュバック。そこで2019年10月には会員カードを電子化し、佐渡でのみ使える「佐渡國通貨」を会員に付与する計画だ。

会員制度に基づく割引サービスやクーポンの提供は、様々な自治体で実施されている。だが、さどまる倶楽部では、優待の付与だけでなく、佐渡観光のデータマーケティングの基盤となることを狙っている。佐渡島のメリットとして、来島の履歴が取得可能なことがある。どの会員がいつごろ佐渡に来て、どのような消費をしたか、ということが明確になれば、そのデータに基づく観光施策を打ち出せる。さらに、会員との関係を維持しつつ、それぞれの会員が強力な「関連人口」となって、多くの来島者を連れてくるという効果も期待している。

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