2019年9月号
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地方創生、第2幕へ

地域で担うプロフェッショナル人材の育成 実践的な職業教育とは

川山 竜二(学校法人先端教育機構 社会情報大学院大学 研究科長・教授)

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地方創生の第二期における新たな視点として「人材育成」が加わった。人材育成の一つのカテゴリに「実践的な職業教育」がある。地域で「プロフェッショナル人材」を育成しようしたときに、キーワードになるのは「いま/ここ」「これから/ここ」である。

地方創生と人材育成

令和元年6月に「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」が示された。地方創生の第二期における新たな視点として「人材を育て活かす」という人材育成の部分が加わった。人材育成は短期的に実現できるものではないが、中長期的に地方創生を支える人材を育成することは有効な方策の一つである。

地域活性の文脈以前に、大学に期待される機能のひとつとして、地域の人材育成が挙げられる。その期待される成果の一つとして、地域の大学進学率を上昇させる役割は歴史的な役割を終えたといえる。しかし、大学進学による地方からの大都市圏への流出は多いが、大都市圏から他地域への流出が少ないのが現状である。大学進学率の上昇は、ある意味で大都市圏に労働力が集中するという結果を生み出した。その点では、必ずしも地域の人材養成には結びついていないことが課題である。他方で、専門職の養成を通じて優秀な人材を域内に供給させることはまだ重要な役目を残している。地域の専門職養成では、とくに医療や教育の分野に注目されてきた背景がある。しかし、今求められているのは、地域課題や地域産業界の課題やニーズに即した実践的な職業教育である。これからの地域創生と大学を考える上で、我々は具体的に何を考えて計画しなければならないのかを考えてみたい。

「いま/ここ」と「これから/ここ」の専門職教育を目指して

地域課題や地域産業界のニーズに即した職業教育を展開しようと考えれば、次の点に留意しなければならないだろう。これからの地域に根ざした職業教育を考えるときに、ひろく地域社会からの要請に応えるのは必然と言える。ここで気をつけなければならないことは、その社会の要請は2つあるということである。第一に、現在時点において社会から要請されている人材像を教育するということ。そして第二に、急激に社会が変動するなかでこれから必要とされる人材像を教育しなければならないことである。この両者が両立する人材を養成できる教育を提供することが求められる。

だが前者の現在時点での教育にたいする要求は、注意が必要である。それは2つの時間差があるということである。一つは、これまでの教育を振り返って改善すべき点として見えたものが要求として出されたものであるということである。もう一つは、現時点での教育に対する要求を受け入れたとしても、その成果が社会に現れるまで時間がかかるということである。また、教育成果があらわれるまでに社会の状況が変化し、社会のニーズに合致しなくなる可能性もある。そうした社会の状況変化も踏まえた上での教育設計が必要なのである。教育を構想する際に最も重要なことは、地域社会構造を分析しどのような人材が求められているのか、人材育成像を明確にすることである。

地域課題や地域産業界に応え支える人材育成とは、現状における社会の要請に応えつつも、社会動向が変化したあとにも通用する人材育成を目指さなければならない。すなわち、現在と未来のダブルバインドの要請に応えることが必要である。そのためには、社会動向を掴むことが重要ではないだろうか。さらにここまでの論点で気をつけなければならない点がある。それは社会全体の要請なのか地域課題特定のものなのかを区別する必要がある。

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