2019年9月号
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地方創生、第2幕へ

大阪のスーパーシティフォーラムで議論 日本の未来都市の姿とは

月刊事業構想 編集部

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先端技術を活用し、まちの運営を効率化、快適な暮らしと人手不足などの課題解決を両立する。そんな未来の実現を目指す「スーパーシティ」構想は、地域活性の面からも注目されている。G20と同時に大阪で開催されたフォーラムでは、国内外の関係者が、未来都市について議論した。

展示ブースでは各社がスマートシティ関連の製品をプレゼン

「スーパーシティ」構想は、特区制度とAI・ビッグデータを活用して、まちを丸ごと最先端都市に変えようというものだ。生活全般を対象に、未来社会での暮らしを世界に先駆けて現実とする。今後の地方創生だけでなく、国内の人々の生活そのものの将来を左右する構想だ。

内閣府では、同構想に関連した国内外での取り組みに関する知見を集め、有識者が議論する場として「スーパーシティ スマートシティフォーラム2019」を2019年6月29日にグランキューブ大阪で開催した。

未来都市を日本で実現

スーパーシティでは、生活全般にまたがる様々なサービスを実装するため、複数の先端技術やソリューションを組み合わせる必要がある。そこで同フォーラムには、28の企業・団体が、それぞれの技術や研究開発をブース展示した。スマートシティやスーパーシティへの取り組みを考えている自治体向けに、相談会も開かれた。また、デジタルスマートシティの海外における先駆的事例として、フィンランド・ヘルシンキ市の最高技術責任者のMikko Rusama氏が、同市における実践を紹介する講演もあった。

注目を集めたのが、「スーパーシティ」構想の提言を取りまとめた有識者による、同構想のねらいの解説だ。「スーパーシティ構想の実現に向けた有識者懇談会」で座長を務めた、慶應義塾大学名誉教授・東洋大学教授の竹中平蔵氏は、「日本特有の問題として、ディストラクティブなイノベーションに対して反対が出る。スーパーシティ構想は、社会の規制を変えていかなければ進まない。国家戦略特区の枠組みを使い、スマートシティを高め、スーパーシティを作り上げていく必要がある」と語った。

竹中氏は、「スーパーシティ構想の実現に向けた有識者懇談会」で座長を務めた

「スーパーシティ」構想では、数を絞って選定したエリア内で、未来都市を実現することになっている。再開発などでまちをゼロから作っていく新規開発型と、すでにあるコミュニティと連携しながら進める既存都市型の2タイプを想定している。対象エリア選定に際しては、住民の合意形成を促進・実現できる、ビジョンとリーダーシップを備えた首長と、最新技術を実装できる企業の2つが存在することを重視するという。竹中氏は、「この構想は人々を幸せにするためのもの。人間が最も得意とする、クリエイティビティの高い仕事に特化できるようになることで、全体の生産性が上がる」などと話した。

柔軟性ある標準ですべてをつなぐ

また、同有識者懇談会に有識者委員として参加した東洋大学情報連携学部(INIAD)学部長の坂村健氏は、「スーパーシティ」構想の実現に向け、技術的な側面から講演した。坂村氏は、スマートシティの本質は「as a service」、すなわち都市のサービスの連携基盤にあるとみている。現在、自動車や自転車などの移動手段をはじめ、あらゆるものが所有から利用の時代に突入しつつある。スーパーシティではこれをさらに進めることになるだろう。

そこで不可欠なのが、インターネットのクラウド上でのサービス連携だ。このために、データ連携とAPIが必要になる。サービス提供者が公式にAPIを公開すると、容易に様々なサービスとサービスを連結することが可能になる。ただし、「APIは技術だけではなく、制度的な側面が大きい。トラブルの際の責任や損害賠償の決まり事をAPIに反映する必要があるでしょう」と坂村氏は指摘する。

それでは、スマートシティのための標準APIはどうあるべきだろうか。「標準」には強弱がある。強い標準はミクロには最適化しやすいが、柔軟性がなく、環境が変化すると全体最適化を阻害する。弱い標準は、各所ですり合わせが必要にはなるが、柔軟性があり、その枠内でのイノベーションが可能だ。「このことから、スマートシティの標準は『弱い』ほうが望ましい」と坂村氏は話した。

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