IoTシステム開発の常識が変わる 費用は数十分の1、1日で完成

従来、数百~数千万円の費用と数ヵ月の時間がかかっていたIoTシステムの開発を、数十分の一程度の費用とたった1日に短縮――。神戸のスタートアップが生み出した新しいソリューションは、日本のIoT市場の拡大を加速させる可能性を秘めている。

大津 真人(Momo 代表取締役CEO)

Momo(本社:神戸市)は2016年3月に設立された気鋭のスタートアップだ。同社のウェブサイトには、次のようなキャッチコピーがある。
社長「IoT買ってこい!」
社員「買ってきました!」

これで済む「IoTシステム」作りました。

Momoが提供しているのは、これまで開発難度が高いと敬遠されがちだったIoTシステムを、多くの費用や時間をかけずに開発できる開発プラットフォーム「Palette IoT」であり、それを使って構築した多様なIoTソリューションだ。「Palette IoT」は2017年12月に発表され、多くの業種・業界や自治体で実証実験や導入が進んでいる。

IoT市場拡大の障壁とは?

Momo代表の大津真人氏は、東京大学大学院で心理学を専攻する傍らでプログラミングと出会い、個人でアプリを開発して40万DL超えのヒットを記録した実績を持つ。そうした才気を買われてソフトウェアエンジニアとして大手家電メーカーのアプリ開発やシステム開発に携わった後、2016年3月にMomoを設立。IoT分野の新規事業開発や受託開発を行っている。

2017年には、子どもがスマホを使いすぎるのを防止するスマホケース「OTOMOS(オトモス)」というユニークなプロダクトを発表している。IoTケースからの信号で保護者が設定した時間帯のみ、子どもがスマホを操作できるようにした。「OTOMOS」の開発で培った技術がもとになり「Palette IoT」が生まれている。

子どもがスマホを使いすぎるのを防止するスマホケース「OTOMOS(オトモス)」

大津代表は、新事業・新サービスのアイデアをどのように着想しているのか。

「ITプラットフォームやハードウェア、通信やフリーミアムなどジャンルごとに興隆したサービスや概念の栄枯盛衰の年表を書いて、次に何が必要とされているのかを考えたり、本で読んだことや自分たちのサービスをその図の中に位置付けたりして考えています。IoTについて、国内の市場規模は6兆円(2017年、IDC Japan調査)にも関わらず、その成長率を見ると前年比16%。AI(60%)やVR(100%超)の急拡大に比べると、IoTの成長は鈍い。なぜだろう? ここを解決できるような汎用性のあるシステムをつくろうと思ったのが、Palette IoTにつながっています」

大津代表が目指したのは、IoTシステム開発のコストや時間を極限まで抑えることだ。

「現状、IoTシステムを開発するにはセンサーや通信、ソフト、ハードの試作や量産などが必要で、高コスト・長期間・高リスクになっています。それが大きな障壁となり、IoT市場の拡大を遅らせています。私たちが目指したのは、従来は数百~数千万円の費用と数ヵ月の時間がかかっていたIoTシステムの開発を、数十分の一程度の費用とたった1日でできるようにすることです」

「Palette IoT」は、IoTシステム開発に必要なすべてのツールを1つのパッケージにまとめており、センサーとそれを取り付ける送信用基板、受信用基板としてスマホに取り付けるホルダー、スマホアプリの4つで構成されている。

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