誰もが資金調達ができる世界へ 躍進するレグテックベンチャー

テクノロジーが規制のあり方を変える――。近年、「レグテック(レギュレーション:規制×技術)」のスタートアップが日本でも登場しており、その代表的な1社がクラウドリアルティだ。同社の鬼頭武嗣CEOは、自身のビジョンで多くの人を巻き込み、世界を変えることを目指す。

鬼頭 武嗣(クラウドリアルティ 代表取締役 CEO)

前職の外資系金融での
知見・経験が強みに

2014年12月に設立されたクラウドリアルティは、不動産を活用するための資金を必要とする事業者と、そのプロジェクトに投資したい人を直接結びつける、P2P(ピアツーピア)型のエクイティ・クラウドファンディング事業を展開している。金融は規制産業だ。表面的にはシンプルに見えるクラウドリアルティの仕組みも、不動産の証券化などの金融のテクニカルな知識や、複数の監督官庁との折衝を経て実現されている。

クラウドリアルティの鬼頭武嗣CEOは、前職の外資系証券でJ-REIT(上場不動産投資信託)のクライアントなどを担当しており、その経験・知見のうえに同社のビジネスは成り立っている。

「私たちは、テクノロジーを駆使して各種法令遵守に伴うコストを引き下げ、事業を展開しています。それができるのは、資本市場における法令順守のプラクティスやオペレーションを理解しているからです。金融機関の内部にはコンプライアンス部門の担当者もいますが、そうした人たちが起業することはあまりありません。そうしたこともあって、レグテックの担い手となれる起業家は少ないのだと思います」

国内で実績を重ね、
エストニアでも事業を展開

クラウドリアルティは、京都の町家を宿泊施設にリノベーションするプロジェクトや、保育園事業用地を取得するためのプロジェクトなど、すでに多数の資金調達プロジェクトを成立させている。

「資金を調達する起案者側のニーズは強烈に感じます。世の中には銀行から融資を受けたくても、断られている人がたくさんいます。しかもそれは、地方に行けば行くほど多い。実際には融資以外にも様々なファイナンスの手段がありますが、それを知らない経営者がたくさんいます。銀行融資が中心となってきた日本は、いわば多様性を犠牲にして、単純化を追求してきたと言えます。本来、資本政策はもっと多様化していい。私たちも、まずは知ってもらうために事例を積み重ねることが大事だと考えています」

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