2019年8月号
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多彩な地域資源を生かす

創業支援と観光振興で関係人口増加 和歌山県田辺市

真砂 充敏(田辺市 市長)

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日本有数の梅産地で、熊野古道のハブにもなっている田辺市。新規事業を立ち上げる人のための塾を地域ぐるみで開始し、様々なビジネスを生み出す。農福連携、インバウンド客の誘致でも、関係人口は増加している。

和歌山県田辺市は、近畿地方の自治体では最大の1000平方キロメートルを超える広大な面積を有し、熊野古道が通る山岳地帯から南紀の海岸まで、様々な地域資源を持つ。同市市長の真砂充敏氏が進める様々な地域活性の施策を聞いた。

真砂 充敏(田辺市 市長)

4期目を迎える創業塾

田辺市は、2016年度に「たなべ未来創造塾(以下、未来塾)」を開始した。地域を担う人材、特に地域課題の解決とビジネスを両立させる人材の育成を目的とした組織だ。地方創生の先進事例を手掛ける富山大学と、地元の金融機関、商工会議所など、「産学官金」が一体となり運営している。

塾生の定員は毎年12人。地元の事業者や農家、サラリーマンなどの様々な人がこれまでに学んできた。経済学や経営学についての基礎知識と地域づくりを学び、ケーススタディやビジネスプラン作りの演習を行った後、自らのビジネスプランを構築し発表する。ビジネスプランの発表で創造塾は修了となるが、その後はプランの実践のための改良や、各種資金集め、補助金活用に向けた支援などを受けられるようになっている。

「第1期・第2期の修了生24名中、実に70%にあたる17名の人たちが既に創業し、活発に活動しています」と真砂氏は話す。例えば、第1期の工務店と内装業を営んでいる修了生2名は、空き店舗が増え始めていた紀伊田辺駅前の築80年の民家をリノベーションし、カフェバーとゲストハウスの複合施設「the CUE」を始めた。この開設と運営には、創造塾で培った塾生同士のつながりも生かされており、熊野古道を歩く外国人旅行者にも人気となっている。農業を営む修了生は、地域の課題である有害鳥獣を捕獲する狩猟チームとともにジビエ加工施設を整備し、食品加工業を営む修了生はそのジビエを使ったメニューを開発し、商品として提供している。

田辺市内での創業の機運は、創造塾の修了生以外にも広がっており、プラスの波及効果がみられるという。2018年には、学生時代から地域と大学との連携事業を通して熊野地域に関わっていた関西大学の卒業生たちが移住を決意。熊野で獲れた川魚や米、野菜、肉などの地元食材を使った料理を出す「くまのこ食堂」を開業し、若者の移住例として注目を集めている。

田辺市では、2019年度中に紀伊田辺駅前に開設する市街地活性化施設に、創業家と創業を目指す人たちの活動拠点を設置する計画だ。これにより、さらなる経済活性化を期待している。

田辺市は熊野古道の要衝として栄えてきた

たなべ未来創造塾から生まれたthe CUE。空き家をカフェとゲストハウスにリノベーションした

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