2019年8月号
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デジタル政府の潮流

世界で進む「行政サービスのデジタル化」 日本が抱える課題

狩野 英司(行政情報システム研究所 調査普及部長)

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今年5月、デジタル手続法が成立したが、行政サービスのデジタル化は各国で進められている。世界的に見て、日本の取り組みはどこまで進んでいるのか。日本のデジタル政府の課題と、民間に期待される役割について、行政情報システム研究所・狩野英司氏に話を聞いた。

狩野 英司(一般社団法人 行政情報システム研究所 調査普及部長/主席研究員)

日本のデジタルガバメントは、
政策や形式よりも「実行」に課題

――日本の電子政府について、海外と比較した現状をどう見ていますか。

狩野 日本政府が推進しているIT戦略のメニューを見ると、やるべきことが網羅されており、欧米と比べても、政策的に大きな違いはありません。

むしろマイナンバー制度など、日本が世界的に先行している取り組みもあります。現時点で「国民ID」が導入されているのは、フィンランドやエストニアなどのあまり規模が大きくない国のみで、米国や英国、フランス、ドイツなどでは導入されていません。毎年、行政情報システム研究所は海外の電子政府の現地調査を行っていますが、各国のIT戦略担当者は日本のマイナンバー制度に強い関心を示しています。

また、政府CIOや内閣官房IT総合戦略室の設置など、制度的な枠組みについても日本は遜色ありません。各国で政府CIOに関する制度(組織、体制、任用など)は大きく異なりますが、日本の政府CIOは権限・責任が集中され、そこがハブとなって企画・調整を実施しており、政府全体の年間システム運用経費を約3割削減するなどの成果をあげています。

――日本の課題については、どう見ていますか。

狩野 デジタル化の実行の面では課題が多いと思います。日本の政府CIOが担うのは企画・調整が中心ですが、政府が打ち出したIT戦略を各機関・自治体に落とし込むためには、現場でのデジタル改革を後押しするための実行機能が重要です。しかし、日本はそれが不足しています。

例えば、いち早く行政サービスのデジタル化を進めている英国は、800人を超える規模のGovernment Digi tal Serviceという組織を置いて各省の実行を現場でサポートしています。こうした点は、日本も他の国を参考にすべきでしょう。

そのほか日本の課題として、行政にITの専門人材が乏しいことも挙げられます。ジェネラリスト中心の行政の人事慣行や異動サイクルでは、継続性が担保されず、新しいデジタル技術に対応するための知見を培うことができません。

一方、米国やフランスでは政府CIOやデジタル担当大臣に30代が就任したように、外部からの若手登用を進めている国もあります。若手に任せることはリスクもありますが、デジタル化を牽引するのは若い世代であり、改革を前に進めていこうという意志を感じます。日本の行政もリスクを許容し、オープンな組織文化に変わっていく必要があります。

世界の電子政府の動向

出典:国連経済社会局, 2018 E-Government Surveyをもとに行政情報システム研究所・狩野英司氏作成

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