楽天が「地方創生サミット」を開催 テクノロジーが地域の未来を拓く
様々なグループサービスを活用し、自治体と共に地域課題解決に取り組む楽天が地方創生イベントを開催。「楽天地方創生サミット」は、全国から集まった自治体職員が参加し、テクノロジーを活用した未来の地域づくりに向けて、多くの知見が得られる場となった。
地方創生、テクノロジーの
可能性をまずは知ること
5月16日、17日に開催された「楽天地方創生サミット」は、楽天の理念である「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」をテーマに据え、テクノロジーの活用による地域活性や自治体経営の可能性について、講演や事例紹介、ワークショップ等が行われた。
オープニングで楽天執行役員・野原彰人氏は「キャッシュレスやEコマース(電子商取引)など、テクノロジーが今まで以上に人々の生活を支えるようになっている」としたうえで、「テクノロジーの可能性を知ることが、これからの自治体のあり方を考えるヒントになる」と語った。
続けてパネルディスカッションでは、「テクノロジー×地域の未来」をテーマに活発な意見交換が行われた。論点の1つになったのは、テクノロジーが進化する一方で、地域の人たちがそれを使いこなせるのかどうか。
「楽天市場」で自転車用品を販売するテラオ取締役EC部マネージャーの佐々木伸一氏は、「ITリテラシーが高くない人でも、テクノロジーは使いこなせる。それよりも、難しそうだから避けるといった心理的ハードルの方が問題」と指摘。心理的ハードルの払拭に向け、楽天技術研究所未来店舗デザイン研究室 室長の益子宗氏は、「テクノロジーのすべてを正しく理解してもらう必要はなく、どのように便利になるのかを提供側が丁寧に説明し、ユーザーが『自分ごと』と感じられるようにすることが大事」と語った。
また、楽天グローバルデータ統括部シニアマネージャーの勝山公雄氏は、テクノロジーの提供側が現地に出向くことの重要性を語り、「地域の課題を把握し、解決するためには、直接のコミュニケーションが大切になる」と語った。
各地で進められている
テクノロジー活用の事例を共有
「楽天地方創生サミット」では、楽天とパートナーシップを組み、地域課題解決に取り組んでいる自治体の事例も発表された。
兵庫県は、「楽天Edy」を活用して関係人口を囲い込み、将来的な移住につなげる施策を進めている。楽天サービスを採り入れて「関係人口・訴求対象の見える化」を実現し、兵庫県にゆかりのある県外在住者に対し、 ①ふるさと兵庫へのさらなる愛着の醸成②県内地域との継続的な交流③県内への移住促進を図るという取り組みだ。
具体的な仕組みは、次のようになっている。まず、登録申請者にチャージ式電子マネー「楽天Edy」機能付県民証を無料で交付し、「ひょうごe-県民」になってもらう。「ひょうごe-県民」になると、その県民証カードを利用するたびにポイントが付与されるとともに、利用額に応じて「楽天Edy株式会社」から兵庫県へ寄付(企業版ふるさと納税)が行われる。
現在は「楽天Edy」が利用できるコンビニやショッピングセンターなどが主な利用スポットだが、今後はオンラインショップや関連アプリをリリースし、より濃厚な関係性を構築して、兵庫県への将来的な移住につなげることを目指している。
次に事例として紹介された福島県南相馬市が挑戦しているのは、ドローン等をはじめとしたロボットの活用による地域課題の解決だ。東日本大震災の影響もあり、深刻な人口減少に直面している南相馬市が目指すのは「創造と可能性の地」になること。その目標に向けてロボットの産業化を進めており、陸・海・空のフィールドロボットを開発・実証するための拠点整備や人材育成に力を注いでいる。
こうした取り組みの一環として、南相馬市は楽天との包括連携協定を締結。楽天のドローン等を活用した物流システムの構築を進めており、2017年10月にはドローン配送サービスを開始した。
南相馬市が「ロボットのまち」を目指す背景には、かつての東日本大震災の時に、もしドローン等があれば「迫りくる津波を発見できたかもしれない」、「津波で孤立した人に救援物資を届けられたかもしれない」などの想いがある。南相馬市にとって楽天との協働は、地域の未来をつくり出すための大きな力になっている。
みんなでつくる
「自分のビジョン」ワークショップ
楽天地方創生サミットの最後には、参加型のワークショップが開催された。2日間にわたる講演や事例紹介、テクノロジー活用の知識のインプットを活かしながら、各参加者が「自分の自治体をこうしたい」などのビジョンを明文化。そして、他の参加者とのビジョンの共有が行われた。
楽天地方創生サミットは、座学による一方通行の情報発信にとどまらず、他の自治体との交流をもたらし、気づきや創発を促進して、各自治体が具体的な次の一歩を踏み出すきっかけの場となり、盛況のうちに終了した。
ふるさと納税2年連続日本一 都城市長が語る
「結果を出す自治体経営」に必要な3つのこと
ふるさと納税の寄付額が2年連続1位(2015・2016年度)、マイナンバーカード交付率全国1位など、結果を出す政策を推進している宮崎県都城市。池田宜永市長は、「地方創生の中身は昔と今では大きく異なっている。だからこそ民間感覚を採り入れ、地域発展の最大化を図らなければならない」と語る。
さらに、池田市長は、自治体経営を構成する3大要素として「人財育成」、「組織活性化」、「政策推進」を挙げ、その中でも最も重要な資源は「人財」であると語った。自治体職員に求められるのは、市民のためのサービス提供という視点と、市民を代表して業務を担うという視点の2つであり、その両方の意識を浸透させることが市長の役目であるとした。そして、「今年度は都城フィロソフィを策定、これを人財育成の柱とし、今後も結果にこだわる政策を推進していく」と講演を締めくくった。
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